唐澤塾
唐澤豊が情報通信技術+経営術+人生術+創造性を中心に一期一会を追求する私塾
福岡正信著「わら一本の革命」
「京増弘志のかわら版」に読者の方が、福岡正信著の「わら一本の革命」の一節を紹介された投稿があったということが、12月23日版に書かれています。
http://blog.livedoor.jp/kyomasu123/archives/50286786.html

読んでみると、25年以上も前に書かれた本だということですが、本質的なことを述べているように思います。以下は、冒頭と最後の部分の抜粋です。全文は上記サイトか原本をお読み下さい。

 「風心」

 人類文明の遠心的な発達は、極限に達した。
 このまま膨張し崩壊してゆくか。
 反転して求心的に収縮するか・・・
 滅亡か、復活か、岐路に立つ人間
 足元の大地は崩れ始め、天も暗くなった。

 肉体の崩壊が医学の混乱を招き
 精神の分裂が教育の昏迷となり
 社会の不安が道徳の荒廃につながる

 これでよいのか・・・

 【途中省略】

 科学者が追うはてしない夢
 することはまずこんなこんな利口なことである
 ああ、しんどい話になった
 もう一度最初を振り返ってみよう
 問題は
 人が善いか悪いかを考え
 自然は善だ
 いや悪だと争い始めたときから出発した
 自然は善でも悪でもない
 自然は弱肉強食の世界でも共存共栄の世界でもないのに
 勝手にきめつけたのが間違いの根だった
 人間はなにもしなくても楽しかったのに
 何かすれば喜びが増すように思った
 物に価値があるのではないのに
 物を必要とする条件を作っておいて物に価値があるように錯覚した

 すべては自然を離れた人間の知恵の一人相撲だ
 無智 無価値 無為の自然に還る以外に道はない
 一切が空しいことを知れば一切が蘇る
 これが
 田も耕さず肥料もやらず農薬も使わず草もとらず
 しかも驚異的に稔った
 この一株の稲が教えてくれたる緑の哲学なのだ
 種を蒔いてわらを敷く
 それだけで米はできた
 それだけでこの世は変わる
 みどりの人間革命はわら1本から可能なのだ
 誰でもすぐ今すぐやれることだから

  福岡正信著 「わら一本の革命」より


「食育」や「身土不二」が話題になって来ていますが、この「わら一本の革命」のように、食べ物を作ることのもっと根本的なことから考えないといけないですね。いや~、今年最後に、良い本を知りました。早速読んでみようと思います。

皆さん、良いお年を!

唐澤豊@唐澤塾
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【2005/12/31 08:08】 推薦図書 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |
個人情報保護法への過剰反応
CRM(顧客関係性管理)関係の仕事をされている方のメルマガに、今年の4月に、個人情報保護法の完全施行と共にシュレッダーが売れ出した、ということと、同法に対する過剰反応が問題だということが書かれておりました。

その一例として、以前、お付き合いのあった人が、社内で人事異動があり、新しい直通番号がわからなかったので、その企業(大手金融機関)の代表番号に電話して、○○部の□□さんをお願いします、と電話したのだそうです。ところが、○○部には□□はおりません、という返事だったので、以前の部署を告げたら、現在の部署がわからなければ、調べられない、との返事で、当人に繋いでくれなかったというのです。そこで、事情を説明しても、「個人情報保護法がございますので、お調べできません。」ということで、剣もほろろだったとのことです。

この場合の正しい対応の仕方は、「こちらで調べまして、当人がわかりましたら、本人から折り返し連絡させますので、そちら様の電話番号を教えていただけますか?」というものだと思います。

これは学校の同期だ、OBだといった人から、「○○さんの電話番号を教えて下さい」とか「○○さんの自宅の住所を教えて下さい」といった類の問い合わせについても同じ対応が正解ですね。

それを、上記の例のように、個人情報保護法を盾に取って、一切の情報を遮断してしまっては、コミュニケーションがうまくできない世の中になってしまいます。

似たような例では、学校の連絡網のための電話番号掲載も拒否する親が増えて、連絡網が作れない、という話も最近はよく聞きますね。それを、個人情報保護法に基づき、管理をしっかりやるという業者に一旦情報を預けて、先生がその業者に連絡事項を伝えると、その業者から各家庭に、電話やメールで伝える、という代行業務も始まっているとのことです。しかし、業者を信用して、同じ学級の親や先生を信用しない、とうのも変な話だと思いませんか?姉葉問題に限らず、企業や企業人の不祥事は山ほどあって、企業の方が信用できないと思うのは、私だけでしょうか?

こうした「過剰反応」は、法律を良く理解せずに、責任逃れの事なかれ主義という保身に走っている日本の社会を現しているようですね。

唐澤豊@唐澤塾
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これからのビジネスと情報システム---その5
---その5:これからのコールセンター---

欧米では顧客との対応を電話で行うコールセンターを、地域ごと、部署ごとに構築して来たが、顧客から電話があった時に、社内の業務データと顧客データと連動させてポップアップして応対できるようなCTIシステムの導入に当たって、全社的コスト削減と効率化の観点から、大規模なコールセンターに統合する方向に行った。

そして、最近では、顧客から電子メールによる企業へのコンタクトが増加の一途であり、またインターネットのホームページを見ての問い合わせなども増えている。これらとの統合が大きな需要となりつつあるので、単なる電話による応対をするコールセンターから、あらゆるメディアによるコンタクトに応対しようということで、コンタクトセンターという方向になりなり始めている。それに伴い、エージェントのスキルもより高いものが求められている。

また、情報提供環境の整備が進み、顧客側の情報収集能力も高まって来ると、アウトソース先やパートタイムのエージェントよりも豊富な情報を持った上でコンタクトした場合には、エージェントの質が低いと判断されてしまうことになり、より豊富な専門知識を持った社員が対応している競合企業と比較されると、優良顧客を失うことにもなり兼ねない。既に、経験豊富な営業の人間をこうしたコンタクトセンターに配置して効率も売上も伸ばしている企業が段々出てきている。日本でも、企業間取引で訪問対面販売の時には一人の営業が20社程度を担当していたのが、コンタクトセンターでは200社を担当でき、営業経費も半分程に減ったという話もある。

コールセンターの構築に当たっては、とかくシステムやその機能、導入コストに議論が集中しがちであるが、役割、機能、組織、プロセスなどを先に考える必要がある。位置付けはコストセンターなのかプロフィットセンターにまで持って行くのか?電話だけのコールセンターか統合したコンタクトセンターか?スタッフィングはベテラン営業を配置するのか、パートターマーか?組織はどこに所属するのか?他の部署との業務フローはどうするのか?などを決めた上で、システムを検討する必要がある。今から構築しようとするなら、前述のような、既に大きな成果を上げている例を参考にして効果を最大限にすることを目指すべきであろう。始めてで、経験もノウハウもない、システムを管理できる人間もいない、という場合には、アウトソースからスタートせざるを得ないだろうが、将来的には、システム以外は自前で運用することを初めから考慮しておくべきである。

システムのベースとなるコンピューターは日進月歩であるから、自前で持つと、運用管理上も大変だし、定期的に新しいシステムを導入する必要もある。従って、インターネットのホスティングサービスや、最近始まったコンピューターのアプリケーションサービスのように、コンタクトセンターのサービスを提供する企業が既に欧米ではあり、日本でも段々にその機運が高まって来ている。既に1社からはサービス提供が始まっている。こうしたサービスを提供するのは、1種通信事業者が中心となるので、全国的な配信を通信網の中でやってくれることになり、負荷分散をして最適化したり、スキルを持っているエージェントの居る場所に直接配信したりすることも可能になる。こうしたサービスを利用することで、自前のシステムを持つより安い費用で、なおかつ専門家が運用管理してくれるので安心であるということになる。また季節変動などによる急激な負荷変動の問題が、運用管理者にとっては頭の痛い問題であるが、これもこうしたサービスを利用すれば、月単位での契約になるだろうから、人員の変動だけを考えれば良いことになる。人員は、テレマーケティング会社などから派遣することは今でも提供されているから、そうしたサービスを活用して、スキルの低い人でもできる1次対応などをアサインすれば良いだろう。

大規模コールセンターにまで発展していない日本であるからこそ、これからは、こうしたネットワークサービスを利用した分散型のコンタクトセンターになると思われる。

以上は日経BP社のBizITサイトに“Business Column-15”として12/06/99に寄稿したものです。

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これからのビジネスと情報システム---その4
---その4:これからのマーケティング---

これからのマーケティングを考える前に、日本の企業の場合にまず考えて貰わないといけないのは、まずマーケティング専門の部署を作る必要があるということである。そもそも、マーケティングを専門とする人や部署が無い企業が多く、あったとしても、営業部門か企画部門の中で誰かが兼任している程度である。企画がマーケティングをやっているんだ、という企業もあるだろうが、それは違う。企画は企画で営業責任は持たないだろう。本来マーケティングとは製品やサービスをマーケット化するということであるから、売上にも責任を持つべきであり、以下のようなことを行う重要な仕事である:

* 対象とする市場、客層、客先などを決める (Positioning)
* 商品を揃える (Productizing)
* 価格を決める (Pricing)
* 販売戦略を立てる (Planning)
* 広告・広報を行う (Pull-Promoting)
* 営業や販売代理店に販促ツールを提供し戦略を繰り返し徹底する (Proliferating)
* 営業や販売代理店と販促キャンペーンを行う (Push-Promoting)

などが主な仕事となる。これらの重要なことを、どこかの部署の誰かが兼任する、ということで、良いのかと言えば答えは明白ではないか?それを、開発部門の技術者が興味本位か技術動向で判断して出来た製品を営業が売るとか、逆に、営業部門がお客様からの要望を基に、こういう商品を開発して欲しいということで、先に値段と機能が決まっているものを開発して売る、というどちらかが日本企業では一般的に多いと思われる。開発部門が試作した物を製品にするのは製造部門と品質管理部門であるが、製品を売れる商品にするのがマーケティング部門である。一番良いのは、技術、営業、マーケティングが互いに均衡することであるが、インテルやマイクロソフトのように、収益性も良く、業績が伸び続けている企業は、どちらかと言えば、技術部門や営業部門が強いのではなく、マーケティング部門が強いためである。

さて、今までのマーケティングの基本は、マスメディアをフルに活用して販売促進をするマス・マーケティングが有効であった時代から、飽和市場においては個別顧客を重視して、既存顧客の維持とその平均購買単価の向上を目指すワン・トゥ・ワン・マーケティングへと移行して来ている。それは別の見方をすれば、顧客識別マーケティングとも言われ、既存顧客、優良顧客、一見客を識別し、一律にディスカウントを適用するのではなく、大量に買ってくれる優良顧客には大幅なディスカウントを提供し、一見客には定価で買って貰うといったことをするのである。1物1価ではなく、1客1価とでも言うべき差別化である。それは出来ないという話も聞くが、企業間取引では当たり前のこととして今までやっているので、別に問題ではないはずである。

また経営管理手法として、CRM (カスマター・リレーションシップ・マネジメント:顧客関係管理) が最近注目されている。CRMと顧客識別マーケティングとは同じ方向を目指しているのだろうか?今のところCRMは、マスで見ていた顧客を、年齢、性別、年収、趣味嗜好などによる小さなセグメント単位に分けて、そのセグメント毎の戦略を立てている程度である。

そしてその顧客との応対を一元化し、電話を中心とする業務を特化しコールセンターとして独立させるかあるいは、テレマーケティング会社にアウトソーシングする、ということで、コールセンターは大規模化しつつある。更に最近では、電子メールやインターネットのホームページを使った販売や顧客支援なども統合してコンタクトセンターとしてこれからますます大規模化して行く可能性もある。しかしこれは、ワン・トゥー・ワン・マーケティングという観点からすると、本当に目指すべき方向なのだろうか?私は、むしろ逆行ではないかと思っている。

個々のお客様のことを一番良く知っているのは、直接接する各地の営業所や支店の人間であり、保守サービスを提供する技術者である。顧客中心主義を徹底するためには、こうした地域に密着した支店・営業所・サービスセンターなどの人達が顧客戦略を考えるのが、一番良いはずである。大規模に集中したコンタクトセンターではなく、地域に密着したこれらの拠点こそ、真の意味でコンタクトセンターである。

これからやらなければならないのは、こうした各地に分散している拠点毎に、ワン・トゥー・ワン・マーケティングが出来る人間を配属するか、教育することと、そのためのツールと、より効率の良いコンタクトのためのツール提供することである。

以上は、日経BP社のBizITサイトに“Business Column-14”として11/15/99に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
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これからのビジネスと情報システム---その3
---その3:これからの組織と人事制度---

今までの日本企業の典型的な組織は、深い階層を持ったピラミッド型であった。大企業でのピラミッドは、地域や工場など事業所単位であったものが、事業部制となり、今ではカンパニー制へと移行して来た。それと並行して、中間管理職の削減などによるフラット化もある程度は進んで来ているが、欧米企業に比べるとまだまだ遅れているように見受けられる。

欧米では上司をレポート先といって、その人の組織を聞くときには、所属部署ではなく、誰の下かと聞く。組織というのは、指示・報告系統と業績評価の責任を定めるものである。そうすると、当然のことながら、職務権限、業務プロセス、評価基準、評価方法などや給与体系、昇進制度、雇用採用制度などとも深く関係している。人事権はラインである各部署の長が持っていて、人事部は、競合他社と常に比較しながらガイドラインとなる人事関連基準を作り、各部署における運用を管理・支援するのである。

従って、組織をフラット化するということは、権限を最大限に委譲し、業績評価も途中のプロセスや能力ではなく結果重視にする必要がある。そうなると、自分のやりたくもない仕事をいやいやながらやっても結果は思うように出ないから、自分の能力を十分発揮できる仕事に自由に変わることができなければならない。終身雇用や年功序列の制度を変えなければならないのである。また業務遂行に必要なツールや環境も他社に負けないような最新のものを提供しなければならない。そうでなければ、社員は良い環境とツールを提供して自分の力を十分発揮させてくれる会社に転職してしまうだろう。

また、インターネット時代のビジネスはスピード経営が必要と言われるように、状況変化に如何に早く対応して行くか、そして他社がやる前に新しいビジネス・モデルで市場を作り出すことが重要である。極端な場合には、品質やコストよりも発売時期が重要になることもある。それは、前回紹介した京都の商人達が肌身で知っているという、業界で1位か2位にならなければ、儲からないということからも言える。そうなると、組織はそうした変化に柔軟に対応できる必要がある。朝令暮改を是としなければならない場合も多々あるということだ。研究開発投資、設備投資、事業投資などを決定するのに延々と稟議を回さなければならないようなことでは、決定した時点ではまた変更しなければならなくなるか、決定通り実施したら、失敗することは目に見えていることに成り兼ねない。

新しいアイディアというものは、世界中でひとりだけが思いつく、ということは最近は少なくなったと言われる。ひとりが思いつたということは、世界中では他に10人も20人もが同じようなことを考えていると思った方が良いと言う。情報システムの発達により、それだけ世界の情報格差は減って来て、誰もが同じ情報を手に入れているということである。そうなると、アイディアを思い付いたら温めていては駄目で、それを如何に早く実現させるかが勝敗を決めることになる。

そのためには、浅いフラットな組織で、トップから権限を委譲された少数精鋭の専門家達が自立して柔軟に連係しながら情報を共有して働くような組織で、早く結果を出せる必要がある。更に、最新情報と技術を持っていて、独立して自宅などで仕事をしているSOHOワーカーとプロジェクトを組んで働くバーチャル・カンパニー的な方法も取り入れられる必要もある。実績が無いとか前例が無いとかいったことを理由に、こうし
た優秀な外部資源と契約できないと、チャンスを逃すだろう。彼等はスピードを一番重視しているから、契約が直ぐに出来ないと見極めたら、他社と契約することになるだろう。私も外資系で働いていた時、日本の大企業から「英語の契約書では契約できません」とか「英語だと6ヶ月以上掛かります」とか言われた経験がある。またコンサルティングをしていると「うちでは外部の方と業務委託契約をした前例がないので」と言われたこともある。

また、社員でも自宅で仕事をした方が能率が上がるという場合には、それを積極的に認め、通信費などを支援した方が、却って経費削減にもなる。満員電車に2時間も乗って会社に着いて、疲れて会社で仕事をしていても成果は上がらないだろう。目標管理と定期・不定期の報告がきちんと出来るように教育・訓練がなされれば、仕事はいつ、どこでやっても良いことになり、最大の成果を早く出せることが重要となるはずである。

スピード経営に見合った組織と人事制度がこれからの企業経営には望まれる。

以上は、日経BP社のBizITサイトに“Business Column-13”として11/1/99に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
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2005年の平均気温は観測史上最高?
2005年の気温について、世界気象機関(WMO)は観測史上2番目、米航空宇宙局(NASA)は最も気温の高かった年になる見込みだと発表したそうです。各地で温暖化の表れは明確になってきていると考えられますが、米国は因果関係がはっきりしないという科学的理由で、温室効果ガスの排出規制を拒否し続けていました。それが段々と劣勢になって来たため、ここに来て、経済的理由を前面に出して来ているようです。また中国やインドなど新興工業国を枠組みに参加させる方法についても前進が見られていません。人類はなかなかエゴを制御できないようですね。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/20051222301.html

唐澤豊@唐澤塾
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サラリーマンの保身3原則?
「京増弘志のかわら版」の12月19日版に「NO.1578 藤野さんのメルマガから」というタイトルで、藤野滋さんという方のメルマガが紹介されています。
http://blog.livedoor.jp/kyomasu123/archives/50280370.html

その最初は、
“保身3原則を駆使せよ・サラリーマンの危機管理 051212”
というもので、出生するため、生き残るためには、情報は抱え込み、都合の悪い事実を省略し、都合の良い事実だけを、嘘でない程度に変形し報告する、ということです。それを、マンガの世界に例えて、故手塚治虫氏は「省略、誇張、変形」を漫画の3 原則と説いたが、サラリーマンの保身3原則に通ずるといおうことです。確かに、マンガやゲームでは、この3原則が売れるためには重要だと思います。しかし、それとビジネスに対する姿勢とが同じなのでしょうか?

私は日本の大企業に勤めたことはありませんが、大企業から転職して来た人と一緒に仕事をしたことはありますので、昔のサラリーマンはこういう考え方をする、ということは経験しています。しかし、今だにこういう考え方なのかなあ?とちょっとびっくりしました。

その次に、
“耐震偽装「日本の劣化の象徴」・米知識人が指摘 051213”
ということで、今話題の耐震偽装問題を米国シンクタンクのトップが、“今回のことは、致命的な日本劣化の象徴だと思う”と指摘しているということです。

日本の企業で働く人の多くが、藤野さんの勧められるサラリーマン保身3原則のように「省略、誇張、変形」という考え方で仕事をした場合、当然の帰結として、責任の所在がはっきりしない「日本の劣化」が起きるのではないかと私は思いますが、皆さんはどう思われますか?

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これからのビジネスと情報システム---その2
---その2:これからの経営方針---

先週ある企業を尋ねた時「コールセンターを作って商売を取ろうと思うが、どう思うか?」という質問を受けた。その企業はソフトウェア開発とシステムインテグレーションなどをして来て、たまたま現在はCTI関連のソフトウェアをやっているのである。

これは今までの典型的な経営方針である多極化の考えが背景にあると思われる。その企業の中心となる財産は何かということからすると、テレマーケティング事業との関連性は非常に薄い。もともと技術系社員が中心であり、現在のビジネスの営業・マーケティングが弱いにも関わらず、他の事業、しかもマーケティング業に参入しようというわけである。コールセンターはオペレーターを雇い、教育し、最新システムを導入・維持すれば良いわけではない。コールセンターとはマーケティングをするところである。これはEC(電子商取引)にも言えることである。ホームページを造って待っていれば、商品が売れるわけではない。マーケティングが重要である。私はこうした日本の経営の甘い考えが、日本企業各社の低利益体質に繋がっていると考えている。

もうこれからの企業経営はコア・コンピタンス(自社の大黒柱となる強み)を生かし更に強化して行かなくては大競争時代に勝てないと、あちこちで散々言われていると思うのだが、まだ理解されていないようである。

私の答えは「テレマーケティング事業は急成長しているが、ずっと成長し続けるわけではない。クライアントは、いずれ自前で、ということになる。それを承知でもやると言うなら、どこかの分野に特化して他社に無いノウハウを蓄積すること」である。

一方、ECサイトを使って長くビジネスをして来た京都人の話を先週聞く機会があったが、どんなに狭い分野(いわゆるニッチ)でも良いから、そこで1位になるか、悪くても2位にならなけば、あるいはなれる見通しが無ければ、その商売には手を出すべきではない、ということを、京都人は子供の頃から肌で感じて知っている、ということであった。こうした企業だけが長く存続し、利益が出るということである。これぞ正しくコア・コンピタンス経営である。京都では昔からこうした経営をして来たということであって、何もアメリカが本家ではないのである。アメリカでこうしたことが言われ始めたのは、ハーバード・ビジネス・レビューなどで80年代初頭であったと思う。京都では、士農工商が明確に分けられた江戸時代からであるというが、平安時代といい、文化文政時代といい、飽和市場を経験した商都の商人の末裔達は商売の基本をDNAの中に記憶しているのではないか?道理で京都には優良ベンチャー企業が多いはずである。

では、一極集中だけしかないのか?、ということになるが、何を同類項として多極化が可能かと言えば、今までは、技術・製造ラインとかチャネル(営業・流通)などであったが、これからは、顔の良く見えている「優良固定客」ということだけではないかと思う。それも今までは「OSS:ワン・ストップ・ショッピング」ということでやっては来ているが、今までと違う点は、顧客識別化(差別化)である。単なるOSSでは、デパートやスーパーと同じであるが、ご承知のようにこうしたやり方での商売は衰退傾向である。

それに対してコンビニは元気が良いが、これは地域密着のための分散化により、軽薄短小商品の突発消費に対する需要にうまく答えているからだと思う。セブンイレブンでは、あらゆる情報を提供した上で、商品発注を店長またはアルバイトの店員にまで任せており、それが、不良在庫を減らし、品切れを起こさないで売上を伸ばしている理由であるという。

そして、大型商品や大量購入は駐車場の広いDIYやディスカウント・ショップで、嗜好品はカリスマ店員のいる専門店というのが最近の消費パターンと見受けられる。

流通・販売はそれで良いとして、製造業はどうするのか?という質問を受けるであろう。デル・コンピューターの話は有名であるが、半導体ではファブレスが80年代後半から始まった。これもまた、ある米国大手通信機器メーカーの話で、2兆円規模の売上があるのに、殆ど自社では製造しておらず、アウトソーシングをしており、SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)システムを使い、パートナーから顧客のところに直接納入までやっているとのことであった。自社では設計とマーケティングだけに資源を集中するということであり、徹底したコア・コンピタンス経営と言える。

水平分業・一極集中、地域分散、権限委譲、顧客識別がこれからの経営のキーワードである。

以上は、日経BP社のBizITサイトに“Business Column-12”として、10/18/99に寄稿したものです。

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スパイウエアをインストールさせる“スパイウエア検出サイト”が多数存在
米国のWebsense社は、現地時間12月19日に、スパイウエアを検出・駆除するサイトに見せかけた悪質なサイトが多数確認されているとして注意を呼びかけたそうです。これらのサイトを利用すると、スパイウエアをインストールさせられたり、個人情報を盗まれたりするということです。困った問題ですが、取り敢えず我々にできることは、名の知れたスパイウェアを使うことぐらいですね。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20051220/226496/
オセロゲームは水戸で生まれたんですね!
子どものいる家庭では、正月になると、家族でゲームをやる機会も多いのではないかと思います。
20日附け日経新聞の文化蘭に「オセロ 故郷・水戸に帰る」という記事がありました。

今までオセロは外国から来たゲームだと思っておりましたが、1945年に、水戸中学(現水戸一高)一年の長谷川五郎さんが囲碁はむずかしいので、相手の石の両側を挟んだら自分の色に取り替えるという単純な遊び方を考えて、最初は碁石で遊んでいたのだそうです。それから、牛乳ビンのフタの片側に色を塗り、8X8マス目のチェス盤を使い、現在の原形になったのだそうです。

オセロという名前は英文学者のお父さんの長谷川四郎さんが、黒人の将軍と白人の妻が登場するシェイクスピアの「オセロ」を連想して名付けたのだそうです。

長谷川さんは現在73歳で、柏市に在住。日本オセロ連盟会長を務めておられるとのことで、同じ市内にそんな方がおられたとは!とちょっとびっくりしました。

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日経BP社のITProサイトで“ブログ風コラム・サイト”が開設されました
日経BP社のITProサイトで、ブログ風コラム・サイトが始まりました。
「メール道」の著者の久米さんが「企業経営に活かすブログ道」というコラムを書いています。

下記がその案内ですが、なかなか面白そうです。

IT Pro/‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
◆ブログ風コラム・サイトを新設◆
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥/Report

ブログ風コラム・サイト「IT Pro Watcher」を新設しました。5人の識者がそれ
ぞれ独自の視点から,IT技術や業界動向を解説します。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/watcher/

◆多田正行のCRM Watchdog
CRM(顧客関係管理)分野で数々の経験を積んできたコンサルタントの多田正行
氏がwatchdog(番犬/監視人)として,CRMの現状や将来を語ります。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/watcher/tada/

◆矢沢久雄のソフトウエア芸人の部屋
グレープシティ株式会社アドバイザリースタッフの矢沢氏が出会った元気なプロ
グラマを紹介する「私が出会った元気な人たち外伝」,世の中の様々な計算機(コン
ピュータ)を訪問する「名物コンピュータ列伝」など,楽しい話をお届けします。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/watcher/yazawa/

◆久米信行の「企業経営に活かすブログ道」
ネット黎明期に,WebサイトでTシャツ販売を始めて事業の柱に育て上げ,数々の賞
をものした久米氏。企業規模を問わず,経営者や管理職を中心としたビジネス・パー
ソンの方々に向けて,昨今話題のブログを企業経営に活用する方法を介します。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/watcher/kume/

◆鮫島正洋の知財スキャン
12年間のサラリーマン生活をへて弁護士・弁理士に転身した鮫島氏が,エンジニア
と企業の視点から知財を語る。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/watcher/samejima/

◆星澤裕二のSecurity Watch
国内有数の“セキュリティのプロ”である星澤氏がセキュリティの最新動向や技術
を解説する。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/watcher/hoshizawa/
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久米さんの第一回目は、話題の耐震偽装問題について、当事者の社長であれば、どう対処すべきか、といったことが書かれていて、なかなか興味深いですよ。

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ウィキペディアの正確さを「ネイチャー」誌が評価
ボランティアによって書かれているインターネット百科事典の「ウィキペディア」は、400万近い項目があり、その中の“科学分野の話題を扱った項目の正確さには「ブリタニカ百科事典」に匹敵する”といった趣旨の記事があの有名な「ネイチャー」誌のネット版に掲載されたそうです。これは、専門家が両辞典の関係項目を初めて審査した結果だということです。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/20051219302.html

私も時々ウィキペディアを使いますが、なかなか便利だと思います。しかし、素人が書いたものだから信用できない、という人もいるようです。でも、皆でどんどん加筆訂正できるわけですから、ここは間違っている、と思う人は、編集に参加して精度を上げていけばいいわけで、編集途中のものもたくさんある、参加型のものである、ということを理解していない人が多いのだろうと、思います。

唐澤豊@唐澤塾
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これからのビジネスと情報システム
---その1:現状の課題---

テレマーケティング、コールセンター、電子商取引などの話題が花盛りだ。だから今からこれらの事業に参入することを検討されている方々も多いであろう。ビジネスのスピードが遅い時代には、十分な経営資源を持つ企業は新規市場開拓を試みた他社が成長の兆しを確認してからおもむろに参入するということでも良かった。いやそれが間違い無く儲かる松下流商売の仕方として、先行切込み型のソニーと対比されたものだ。

しかし、今の、そして将来の情報産業はドッグ・イヤーと呼ばれ、サイクルが早いので、他社の成功を見てから同じ様に参入したのでは、もう遅いことは明白である。

ここではまず、これらの産業の抱える課題を列挙してみよう。そして次回からは、将来のビジネスとシステムの在り方・方向などについて、私見と私案を述べてみよう。

まず、経営面から見ると、右肩上がりの成長の時代には、安く大量に生産しマスメディアを使って宣伝・広告して売上を伸ばし、市場占有率を高めることが優先された。ひとつのブランドの下、設計・製造から販売まで全て自社または子会社が行う縦型分業が基本であった。それが、変動・複雑化・低成長の時代になると、自社の強みが生かせることだけに資源を集中し、水平分業とアウト・ソーシングにより生産性と利益率を高めることが要求されるようになった。そうした中で欧米では、高度成長して株価を高めるには、合併・吸収による大規模化が最も良い方法と考えられているようだ。しかし水平分業化と1点集中化が求められる時代に古代の恐竜を目指すような大規模化は矛盾するのではないだろうか?

次に組織論から見ると今までは、事業別の縦型ピラミッド組織で、細分化された職制により、指揮・命令とマニュアルに従い働く大組織の時代であった。それが、情報システムが発達した最近では、浅いフラットな組織で、少数精鋭のトップから権限を委譲されたそれぞれの専門家が自立して複雑に連係しながら情報を共有して働くような組織に移り変わろうとしている。更に進んでいるところでは、同じ職場や会社ではなく、自宅などで仕事をするSOHOワーカーがプロジェクトを組んで働くバーチャル・カンパニー制まである。これから先はどういった組織になって行き、その時要求されるシステムはどんなものであろうか?

またマーケティング手法について見ると、高度成長期にはマスメディアをフルに活用したマス・マーケティングが有効であった時代から、飽和市場においては個別顧客を重視して、既存顧客の維持とその平均購買単価の向上を目指すワン・トゥ・ワン・マーケティングが注目され始めている。また別の見方からすると、顧客識別マーケティングとも言われ、1物1価ではなく、1客1価とでも言うべき差別化が有効とされている。また経営管理手法として、CRM (カスマター・リレーションシップ・マネジメント:顧客関係管理) が注目されている。CRMと顧客識別マーケティングとは同じ方向を目指していると思われがちであるが、そうなのだろうか?

顧客との応対を一元化し、電話を中心とする業務を特化しコールセンターとして独立させるかあるいは、テレマーケティング会社にアウトソーシングする、ということで、欧米のコールセンターは大規模化して来た。更に最近では、電子メールやインターネットのホームページを使った販売や顧客支援なども統合してコンタクトセンターとしてこれからますます大規模化して行く傾向も見られる。しかしこれは、ワン・トゥ・ワン・マーケティングという観点からすると、逆行ではないか?

コンピューター系と通信系を統合するCTIシステムという観点からすると、コールセンターのオペレーターに電話が来た時に、基幹業務情報を参照できるようにするというのが初期の中央集中型システムであった。現在もその延長線上にあり、違うのは、コンピューター系がクライアント-サーバー型になって、オープンな分散システムになったくらいである。これからもこうした延長として、電子メールやインターネットを統合して集中化が進むのであろうか?同じ会社の中で、他のホワイトカラーのシステムはどうなるのだろうか?

最後に、インターネットを活用した電子商取引が急成長するであろうと見られており、そのシステムはVoIPという技術を使って電話機能も含めて全てデジタルで構築できるし、人を介さない自動化の方向に行くと考えられているようであるが、果たしてそれで誰でもが使うような仕組みになって行くのであろうか?

以上は、日経BP社のBizITサイトに“Business Column-11”として10/4/99に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
http://sohmokutoh.blog9.fc2.com/
http://www.irisa.com/jp/

100ドルノートパソコンは台湾企業が量産することに
以前お伝えした、MITメディアラボの開発チームが設計・試作した「100ドルパソコン」の量産を台湾の広達電脳社に委託することになったそうです。
当初は、中国、インド、ブラジル、アルゼンチン、エジプト、ナイジェリア、タイなどの政府が一括購入し、児童に無料配布する計画だそうです。また、一般ユーザーの関心も高いので、一般販売用の機種も検討されるということです。

詳しくは以下をご覧下さい。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/20051214102.html

これで、より多くの子どもたちがパソコンを使えるようになるわけですが、それが本当に良いことなのか、疑問もあります。私は、パソコンは中学生からでいいと思っています。

唐澤豊@唐澤塾
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高野孟氏等が始めた「ざ・こもんず」
インサイダー編集長の高野孟氏等が「ざ・こもんず」という会員制の無料記事購読サイトを始めたようです。
http://www.the-commons.jp/whats_sam.html

執筆予定者には、テレビなどで活躍する有名人がずらり並んでいて、圧巻という感じです。おお、これは読んでみたい、と思う方も多いのではないかと思います。

でも、彼らは21世紀の論客というよりも、20世紀にマスコミにうまく乗っただけで、真のジャーナリストとしてブレない自論を吐き続け、常に体制批判ができる骨のある人たちだろうか?と思うと、多少の疑問も感じます。

このサイトを読むには、会員に登録するのですが、その方法が少し変わっています。それは、スポンサー企業として中小企業1000社を集め、その会社のサイトから、この「ざ・こもんず」のサイトに入るようにする、ということで、自分がサポートするスポンサー企業を選ばなくてはいけないわけです。この点について、私にはちょっと違和感がありますが、皆さんはどうでしょうか?無理やり知らない会社を選べと言われてもねえ、というのもありますし、ずっとその1社だけをサポートしたいなんて思う人は少ないのではないでしょうか?

それよりも、記事の内容に連動してスポンサー企業のバナー広告なりが出るような方式がいいように思いますけどねえ・・・。

この仕組みはビジネスモデル特許を取得したいるのだそうです。
さて、この仕組みでうまく行くでしょうか?執筆記事の内容も含め、今後の会員動向に注目したいと思います。

唐澤豊@唐澤塾
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成功の条件のひとつはリスクを取ること
---英語版ソフトでも早期導入でメリットを出せる---

情報産業の進歩はドッグイヤーと言われるように他産業の5倍の早さで過ぎているというから、20年以上も前のことはもう時効と考えて良いだろうから、インテルの昔話を明かそう。
 
インテルが4ビットのマイクロプロセッサーを世界で初めて開発した時、そんなものは使い物にならない、という大型計算機の技術者達の冷たい反応を尻目に、最初の量産顧客となたのは、キャッシュレジスターに応用した東京電気である。それにより、大きなシェアを獲得した。その次に直ぐ出た最初の8ビットを採用したのは、セイコー舎である。そして土木・建築業界ではかなりのシェアを確保した。時を同じくして東京タツノがガソリン計量機とPOSとを統合して業界をリードした。そして最初の16ビットを採用したのはファナックで、それにより、NC業界で不動の地位を確立した。初めての製品であるから、色々な問題があったのは当然であるが、それを恐れず、採用した場合のメリットを生かし、問題をひとつひとつ解決して行ったのである。日本人は日本企業もリスクを取らないと言われることが多いが、実はこうして日本企業もリスクを取り自社の成長と共に、インテル成長にも貢献していたのである。

前回、英語が国際ビジネスでは不可欠ということと、英語版のソフトウェアが日本で使われないことが、国際競争力を弱めている、ということを述べた。良いものは、他社よりも先に導入するというリスクを取って初めて成功に近づくというのが、インテルと日本の先駆的顧客との成功例から学べることである。

CTIソフトウェアの場合、例えばサーバー用で、クライアント画面に影響のないようなものであれば、実際に使うのは管理者だけであるから、英語版でも良いものはどんどん導入すべきである。CTIサーバー、モニタリング、履歴統計、Web連動、VoIP、IVRなどのソフトウェアはこうした部類に入るが、それでも日本語化されなければ、というお客様、代理店、SI業者が殆どであるのは残念なことだ。

こうした中で、外資系企業や、一部先進企業で、日本語版が出るまでは英語版のままで導入して成功している。オペレーターの習熟、使い勝手の確立、効果的使い方、収集データの分析・応用などには時間が掛かるので、最初からコールセンター全体に一気に導入するのは愚の骨頂というものである。上手な導入は、まずパイロット・ラインを作り、そこで十分使いこなしてから段階的に導入を広げて行くべきである。こうしたことを考えると、最初の導入から次の展開までに、最低6ヶ月くらいは掛かることになる。そうこうするうちには日本語版も提供されるであろうし、されなくても使いこなしていれば問題はない。英語版なら次のバージョン・アップでも早く導入できる。

具体的には、あるテレマーケティング会社で、一部英語版の時期に導入し、使い方を試行錯誤してアウトバウンドとインバウンドをブレンディングするまでになっている例がある。日本ではブレンディングなど出来ない、と考えている専門家が多い中で、こうしたことが実現できれば、大きな効率改善ができて、競争力を上げ、収益性も上がるわけである。

また、海外でも試作版が出た時点で、ビデオ会議システムとコールセンターとの連動であるとか、Webとの連動であるとかをいち早く導入して、そのメリットを享受している企業もある。「○○だから使えない」とネガティブに考えるのではなく、「どうすれば使えるか?」と前向きに考え、取り組むことがビジネス成功には重要であると思う。

以上は日経BP社のBizITサイトに“Business Column-10”として9/20/99に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
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日本は情報鎖国をいつまで続けるのか?
---今からでも遅くないから使える英語教育を!---

先週、ルーラル・ルネッサンスとデジタル革命というアメリカでの動きについてのセミナーがあり、聴講した。大都会から脱出して過疎地でインターネットを活用したSOHOを始めるという動きである。2人の講師はそれぞれに、英語を使えなくてはインターネットを中心とする21世紀のビジネスはできない、と強調された。インターネットの世界では、大多数の情報が英語であり、我々も英語で情報発信して初めてインターネットの有効活用が可能になる。また最近日本企業では帰国子女が活躍しているという。英語で喧嘩ができるくらい論理性も合わせ持っていないと、国際ビジネスでは太刀打ちできないからだ。国際ビジネスなど我が社には関係ないと思っていたのに、突然米国企業との提携話が転がり込んで来てうろたえている、という話も結構多くなった。どんなビジネスも世界に繋がっているのが21世紀のビジネス形態ということだろう。

1人の講師は、こうした問題の解決のためには、日本人の子供は皆、中学から米国留学するしかないだろう、と主張された。アジア諸国のエリート層の子供達は英語圏に留学しているから、日本もそうするのが手っ取り早い解決策だというのだ。私も結構極端なことを言う方だが、これはちょっと極端過ぎる話だと思う。中学・高校という思春期に親元を離れ、米国で生活したら、文化も思想もアメリカ人と同じになるか、いいとこ取りの逆で、悪いことばかり学んで来て、始末に終えない帰国子女となってしまう可能性が高いと思う。現に私はそうした人間を知っている。

私がここ10年くらい懸念して来たことは、膨大な英語情報を活用できない日本人は鎖国をしているようなものではなか、ということだ。良いソフトウェアも日本語化しなければ日本では売れないため、せっかくの機会を損失している。これを私は情報鎖国と呼んでいる。日本よりは遅れていると思われていたアジア諸国の方が英語のソフトウェアをそのまま導入して、最近は日本より進んでいる分野もあると感じている。モンゴルで携帯電話を使っている羊飼いもいるのに、携帯電話でどこまでも仕事に追われるのは嫌だ、と言って使わない偏屈な日本人もまだまだ多い。情報リテラシーは経験の積み重ねなくしては蓄積できないことは、以前から述べて来た通りである。

私が初めてアメリカに出張したのは、1972年の1月だった。それ以来、英語でのコミュニケーションには四苦八苦して来た。中学・高校・大学と8年も英語を勉強したのに、なかなか使えるまでにはならなかった。どうしてだろうか?それは教育の仕方が悪いからだ。日本人誰もが使えるようになれば、それは大きな資産となると考える。だから、自動翻訳ソフトを開発することなどに国家予算や企業の開発投資を注ぎ込むよりは、もっと使える英語教育のために、国家予算を使うべきだと私はその頃から様々な機会に発言して来た。それでは日本の文化が失われてしまうという学者の反論も多かったが、ビジネス・コミュニケーションの道具と思えば問題ないはずである。英語が公用語となっている国は世界各地にあるが、母国語と自国文化はちゃんと維持している。

最近、箱モノへの投資から情報投資へ、と産学官が声を揃えているが、その第一歩は教育への投資であるべきだと言いたい。個性と創造性を育てる教育・情操教育を含むきれいな日本語教育・使える英語教育の3点を実現することが21世紀の国際情報化に立ち向かうためには遠いようで最も近い道ではないかと考える。知識教育はいつでも出来るし、インターネットを使えば教育の必要すら無いであろう。他国との目先のビジネスの勝敗や技術の優劣に一喜一憂するのではなく、今こそ国家百年の計を考え、長期計画を立てて実行に移す時である。

以上は、日経BP社のBizITサイトに“Business Column-9”として9/6/99に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
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CTIシステムの第3の星:電子メール統合
---顧客満足度向上のための迅速な対応が可能---

今では多くの企業がホームページを開設し、お客様やパートナーから電子メールを受け取れるようになっている。しかし、それによってひとつの電子メールアドレスに、毎日大量に来る電子メールへの対応に困っている企業も多いようだ。パートやアルバイトを雇って対応するにしても、会社の事業全体を理解している訳ではないので、結局誰かに聞いたりしないと対応出来ない内容も多い。また1日に来る数にもよるが、相当の人数を必要とする。そうかと言って、対応が遅いと、今の時代は、お客様が離れて行ってしまうことになる。だから電子メールアドレスは公開しないという方針でホームページを創った自治体が槍玉に上がったこともある。それでは、何か良い解決方法はないのだろうか?

そこで登場したのが、電子メールの振り分け配信ソフトである。タイトルと本文をキーワード検索して、担当部署なり、担当者に振り分け配信すれば、例え企業全体には大量の電子メールが来ても1人当りにすれば、毎日処理出来る数になる。ホームバンキングや電子商取引のサイトを運営する欧米企業では、こうしたソフトの導入が進みつつある。

しかしそれでも1人当り1日50通を超えるような数になると、なかなかその日の内には対応し切れないことになる。メールの文章だけでは、必要な情報が足りなくて、色々と調べないと回答できない場合も多い。

そこで、CTIシステムとこのようなソフトとを連動することで、更なる機能強化をしようという製品が出始めている。これは、電子メールを担当者に振り分け配信する時に、顧客情報も同時に配信する仕組みである。そうすれば、メールを読みながら、差出人の背景となる履歴情報なども見られるので、適切な対応が迅速に行える。特に、クレームなどのメールは、論理的ではなく、感情的になって書かれている場合もあるので、読んだだけでは、意図が伝わらないこともあるが、履歴情報があれば、理解しやすく、的確で迅速な対応が可能となる。

小人数で効率良い商売をして来た中小企業などの場合も、電子商取引を導入したことにより、人員を増やさないと対応できないようになってしまうこともあるが、こうしたシステムを導入することにより、高い生産性を維持できるであろう。それだけの投資は出来ないという意見も聞かれそうな昨今であるが、社員を1人雇えば年間1千万円程度の経費が必要となる。これくらいの投資でこうしたシステムが構築できれば、2年目からは元が取れてお釣りが来ることになる。

問題は、こうした情報システムをその時代の流れに沿って導入して来たかどうかである。いきなりゼロから一足飛びに最新システムを導入することは、使用する社員のリテラシーの問題と、導入に要する期間と投資額の問題で無理というものである。知り合いが電子商取引の導入をある商店主に勧めたが、在庫管理も受発注管理も手作業だったので、計画は暗礁に乗り上げたという話を聞いた。「ローマは1日にして成らず」の回に述べたことである。商売をするならば何事も時流に乗ることが肝要ということである。

以上は、日経BP社のBizITサイトに“Business Column-8”として8/16/99に、寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
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電話やファクスでは相手に失礼?
---電子メールの活用状況で与信を考慮しよう---

従来、日本の会社ではお客様との商談は面談でなくては、電話やファックスでは失礼にある、と教えられて来た。新卒者が入社する4月を過ぎると、様々な新人営業が、アポイントも取らずに会社を訪問して来る。それに加えて最近では、電話やファックスでの売り込みも増えて来た。それらの対応をする度に、何と無駄なことをやっているのかと思う一
方、こちらの都合も考えずに押しかけて来ることに腹立たしささえ感じる。客の立場からすると、そういう会社からは今後一切買うのは止めよう、と思うことになるのがわからないのだろうか?

また「こちらも忙しいので見積書はファックスで送って下さい」とお願いしても、わざわざ届けるために訪問して来る営業もまだ多い。そういう企業に限って、電子メールはまだ使っていない場合が多かったりする。

私は頂いた名刺の情報で、その企業の情報通信度合いがある程度わかると思っている。これからの時代、取引先の与信を評価する場合、支払い条件や資産状況だけではなく、情報化の度合いも考慮しないと、将来的に成長する企業か衰退する企業かの判断を誤ることになると考えている。

まず、同じ企業の同じ部署の場合は、電話番号が同じかどうか比較してみて、同じだと例え直通と書かれていても、同じ課で共有しているな、と判断する。電話が1人1台になっていないということは電話系に関してはC級企業と考える。1人1台になっていてB級で、ボイスメールがあればA級である。

情報系に関しては電子メールとホームページが書かれていればA級で電子メールだけならB級、どちらも無ければC級である。

まだ電子メールが使われていない企業の場合には、余程の理由がない限り、取引先として選ぶことはしない方が良いとさえ思う。電子メールなしでは、迅速なコミュニケーションは困難な時代である。

しかし電子メールがあっても、その活用度合いは様々なので、それは、その相手とやり取りしながら判断するしかない。自分や回りの経験からして、その活用度合いは以下のように分かれると思われる。

1)会社が用意したが、パソコン特にキーボードを使うのが嫌なので殆ど使わない。

2)秘書や女性事務員に使わせ、自分は紙に原稿を書き、来たものはプリントアウトして貰って読むだけで、自分でパソコンは一切使わない。

3)自分で仕方なく使っているが、相手と内容により、最小限のものだけ読み、返事を出すが、大半は読まずに消去している。重要なことなら面談か電話で連絡が来るので問題はないと思っている。

4)出来る限りのメールには目を通すが、量が多過ぎて通常勤務では対応出来なくなるが、残業したり家でまで処理したくはないので、処理出来ないものは読まずに消去する。

5)残業してでも、全てのメールに目を通し、返事はなるベく早く出す。

当然のように、(1)から(5)へと進化して行く。私が初めて電子メールを使ったのは今から15年程前のことであるが、その時、先輩に電子メールで用件を書いたら、電話が来て「そういう大事なことはオフィスに来て話せ」と言われた経験があるが、情報産業に従事していながら、そうした古い考えでは先が思いやられるなと思ったら、案の定、彼は業界では過去の人で、最近は話題になることも無い。

多くの人が(4)から先、(5)に行くことを躊躇しているが、自分の効率や生産性だけでなく、精神的負担と会社のリスクを考えると今の時代は、帰宅後や休暇中でもメールを見ることが必要ではないかと思う。20分か30分で気掛かりなこともなくなり安眠できるならば、その方が良いと考えるのである。また相手の効率や生産性、精神的負担のことも考えて、電子メールをコミュニケーションの主要な手段として使いこなすことが重要であると思う。社員が皆そうしている企業は今後どんどん伸びて行くであろうし、そうでなければ衰退して行くであろう。

いつまでも面談に頼ろうとする「足で稼ぐ営業」スタイルでは、急激な変化と大競争の時代には生き残れないと思われる。

以上は日経BP社のBizITサイトに“Business Column-7”として8/2/99に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
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玄田有史著「働く過剰 大人のための若者読本」
玄田有史著「働く過剰 大人のための若者読本」という本が出ているようです。この著者は今まで知りませんでしたが、アマゾンのサイトでみると、下記のように紹介されています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757141033/qid=1134259394/sr=1-1/ref=sr_1_2_1/250-0841110-2977060

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
玄田有史
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業。専攻は労働経済学。東京大学社会科学研究所助教授。著書に『仕事のなかの曖昧な不安』(中央公論新社、第24回サントリー学芸賞、第45回日経・経済図書文化賞受賞)、『ジョブ・クリエイション』(日本経済新聞社、第45回エコノミスト賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


そして、「出版社 / 著者からの内容紹介」には、下記のように紹介されています。

若者と労働をめぐる言説は多い。「ニート」「即戦力」「コミュニケーション能力」「自己実現」「過重労働」……。▼しかし、それは責任を放棄した大人が作り出したプレッシャーではないのだろうか。いわれなき圧迫に翻弄される若者たち。その背後には日本社会の階層化も忍び寄っている。
「働くことに疲弊する若者」と「働けない自分に絶望する若者」を、理解不能な存在、単なる社会的弱者として排除することなく、大人たちが個人として、社会として彼(彼女)らの就業と自立のためにできることとは何か。
企業の本音、支援現場の声、そして豊富な最新データを総合した本音の革新的論考。「ニート論」の火付け役にして労働経済学の第一人者による「現代若者論」の集大成。


そして、村上龍さんのメルマガJMMでは、著者のインタビューが紹介されていました。

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■ 特別寄稿「働く過剰」:玄田有史
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今の若者にとって、働くことや生きることがどうしてこんなにも難儀で複雑なもの
になってしまったのか。その根本的な問いに対し、若者の労働環境を研究する者とし
て私なりに一つの答えが浮かんできました。それは現代社会において、すべてのもの
があまりにも「過剰」になってしまったのではないかということです。

「即戦力採用」が声高に叫ばれ、企業側はITスキルや語学力、高度なコミュニケー
ション力など、過剰な人材条件を若者たちに課すようになりました。そして入社後は
彼・彼女たちに過剰なほどの長時間労働を強いられるため、若者の中には働く意欲を
失ったり、病気やケガなどで退職を余儀なくされるような人も出てきました。それが
再就職に関してどこまで影響しているのか。それは、まだ実証されておりません。し
かし、メンタル的な理由によるものが大きいのではないかと私は考えています。

一方で若者たちは、仕事に対して、過剰なまでにやりがいや意味を見出そうとしま
す。例えば「ニート」にしても、彼・彼女たちは働く意思をとても強く持っているこ
とが多い。でも働くことの意味を過剰に求めたり、自分に対して過剰なまでに自信を
喪失しています。また多くの場合、真面目さゆえに「いい加減」に行動することがで
きません。その結果、働く意思があるにも関わらず「とりあえず働いてみる」という
行動を起せないのです。

それを「若者の甘え」と捉えることは、強引な判断にすぎません。社会や私たち大
人は、「自己責任」という名の下に、若者に対する育成を放棄してきました。失敗を
するのも「自己責任」。自分の将来を決めるのも「自己責任」。若者はその過剰なプ
レッシャーに晒されることにより、行動を起せなくなっています。さらに、積極的に
行動し失敗を乗り越える姿を、社会や企業自らが、若者たちにきちんと示せていませ
ん。

働くという行為は、実は非常にシンプルなものです。完全な成功もなければ、完全
な失敗もありません。もちろん仕事に対して意義を求めたり、夢や希望をもつことは
大切です。しかしもっと大切なのは、それをいつでも軌道修正することは可能だとい
うこと。そういう「曖昧さ」「いい加減さ」が、社会の中でもっと認められてもいい
のではないでしょうか。

何か大きな変化が必要な局面には、二者択一的な極端さが求められます。それは一
見とても合理的に感じられますが、必ずや限界に達します。変化に対する警戒心が強
い社会は、ほどなく硬直化していくでしょう。現代の若者の姿は、そんな何事にも過
剰さを求める社会の側面に過ぎないのかもしれません。

(インタビュー:野間美智子)
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玄田有史(げんだ・ゆうじ)
1964年生まれ。東京大学社会科学研究所助教授。専攻は労働経済学。著書に『仕事の
なかの曖昧な不安』(中央公論新社)、『ジョブ・クリエイション』(日本経済新聞
社)、『ニート』(幻冬舎)、『子どもがニートになったなら』(NHK出版)など


まだ読んでいませんが、なかなか興味深い内容なので、読んでみようと思います。

唐澤豊@唐澤塾
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【2005/12/11 11:41】 推薦図書 | TRACKBACK(0) | COMMENT(1) |
コンタクトセンターを事業の中心に据える
---大競争に勝つための大幅な機構改革を---
  
多様化する顧客のニーズに対応する商品やサービスを提供するにはどうしたら良いのかと悩んでいる方はいないだろうか?それが出来たら顧客満足度は上がり、購入単価も上がり、単なるリピート客から固定客へ、そして上得意客へとつながって行く。
 
そのためには、様々な機会と方法を駆使してお客様との接触頻度を上げて、潜在的に何を望んでいるかを引き出さなければならない。そこで、コールセンターを作り、こうした応対の中心にしようということになる。しかし最近は電子メールやインターネットのホームページを見て接触して来るお客様も増えて来ているので、こうした手段も含めて顧客対応・顧客接触を考えなければならない。これら、全ての通信手段をまとめたセンターをコンタクトセンターと呼んでいる。

では、単にこうした機能を統合したサービスが提供出来るところにアウトソースすれば良いのであろうか?コールセンターにしても、テレマーケティング会社にアウトソースするもの、と思っている方々も結構多い。確かに、規模が小さく、経験のある人もいない企業とか、季節変動を含め、負荷変動が大きい業種では、アウトソースが効率的であろう。しかしまた、前回述べた様に、ブランド形成という立場からも検討を要する。

そして、もう少し社内業務を良く検討してみる必要がある。それは、お客様と頻繁に接触しているのは、誰か?ということである。営業以外にも、受発注・流通などの部門もかなり頻度は高いはずである。こうした部門を現状のままにして、お客様相談室のような部署を基にコンタクトセンターを開設しても、それでは大した効果は上がらないはずであり、コストセンターであっても、プロフィットセンターにはならない。

そこでまず、情報システム部門長に更に大きな権限を与え、お客様相談室だけではなく、コンタクトセンターの運営や直販営業の責任者として位置づけ、最高顧客対応役員(チーフ・カスタマー・インタラクション・オフィサー:CCIO)とすることである。そして顧客の立場から見てどういう組織にして、どういう機能を持たせるか、ということを良く検討して全社的な機構改革を行うことである。

もうひとつの大きな機構改革としては、客層別に販売戦略を担当する、カスタマー・マーケティングを置き、製品別組織と串刺しにして、顧客戦略を優先させてビジネスをすることである。

要するに、営業のやり方を変えるということである。「営業は足でするもの」という時代から、「営業はコミュニケーションでするもの」という時代になって来たということである。

以上は、日経BP社のBizITサイトに“Business Column-6”として7/12/99に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
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誰が実質上、会社を代表しているのか?
---ブランド・イメージを決めるエージェントの対応---

つい最近のことであるが、あるメーカーのビデオ機器を買ったお客様が、その対応の悪さに、怒り心頭に来て、自分のホームページを開設し、その一部始終を公開して、短期間に信じられない程多くの来訪者があり、今でもそのやり取りは更新されている。この情報だけからすると、メーカーの対応は確かに100%悪い。

また、ある自動車メーカーと熱狂的ユーザーとの間で、同じ様なことが起こり、それもホームページに公開されている。ここでも、メーカーの人間が信じられないようなことを言っている。

私も以前、小さなゲーム・ネットワーク・サービスの会社を経営したことがあり、その経験からすると、確かに偏屈と思わざるを得ないようなユーザーがいた。だから、こうしたことは必ずしもどちらかが一方的に悪いとは言えないかも知れないので、これら2件の審議をここでするつもりはない。

ここで言いたいことは、どんなにお金をかけて会社のイメージや商品を宣伝したり、色々な場でPRしたり、設計・製造・品管・販売などの人が苦労を重ねて信頼を積み重ねて来ても、こうした1人の担当者の対応の仕方で、熱狂的顧客ばかりか、多くの顧客を一瞬にして失うことにもなりかねない、ということである。インターネットという情報伝達手段が発達してから、これは顕著になって来た。ご記憶の方もいると思うが、あるチップ・メーカーが、その力を過小評価したために、小さなバグが大問題となり、大きな代償を払って対応せざるを得なくなったのは、丁度インターネットが普及を始めたばかりの頃であった。

会社のブランドイ・メージはどうやって形成されるかと考えてみると、マス・メディアの時代には、マス広告が中心であった。そして、もちろん商品そのものも大きく関与するが、それ以上にインパクトがあるのは、直接接触をした人間が与えた印象が1番大きいのである。だから、コールセンターの人間がどう対応するか、ということが、実は会社のブランド・イメージ形成に大きく関わっているのである。

従って、こうしたエージェントの仕事は他社の人間やパートタイマーに任せるのではなく、自社の経験ある人間がやるべきである。お客様と直接対応する社員がそのお客様にとっては会社を代表しているのである。社長でも広報でもないのである。

また、毎日こうした仕事をしていると、過去の事例や経験が頭をもたげて、お客様の言い分を聞く前に、頭から決め付けて結論を出してしまいがちであるが、個々お客様の事情は全部違う。どうして欲しいのか、お客様の声を良く聞くことが重要である。

会社のイメージを決めるのはエージェントである、ということを経営者の方々は肝に命じて、時代に即した機構改革を行って頂きたい。

以上は、日経BP社のBizITサイトに“Business Column-5”として7/5/99に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
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CTIシステムの2つ目の星:Web機能
---訪問者の8%が商品購入!---
  
夜間や週末、自宅でくつろいでいるときに、商品相場・保険・証券などの金融商品や不動産、建物の内・外装の修理・修繕などのしつこい勧誘電話に腹を立てられたことを皆さんは何度も経験されているだろう。こうした相手の状況を無視したアウトバウンドの電話は逆効果であるということを、その会社の経営者は知っていて、やらせているのだろうか?アウトソース先に安い出来高制で契約すると、往々にしてこうした事態に陥り易いが、電話を取ったお客様はそんなことは知らないから、その会社の人間だと思ってしまい、「もうあの会社のものは買うまい」と心に決めてしまうことにでもなれば、大きなマイナスである。コールセンターを活用してきめ細かく個別にマーケティングをする、という主旨に反してしまうことになる。また、現代人は皆忙しい生活サイクルとなっているので、アウトバウンドの電話をしても、どれくらいの人が応答するか、確率はかなり低いので、予測ダイヤル方式といったものを導入しないと、効率が悪くて電話をする人間は疲れるばかりであるが、まだこの機能の導入は日本では進んでいない。

一方、従来のダイレクトメールやカタログ送付による通信販売では、購入率は1~3%であれば良い方で、更にその率を上げるには、値引きをするか、プレゼントをつけるといったことで、経費を増やし利益率を削るしかないのである。

最近注目されているインターネットのWeb(ホームページ)を使ったEC(電子商取引)はどうであろうか?自社のホームページの存在を色々な形で宣伝すれば、確かにそこを訪問し、商品を見たり、注文しようかなと思う人の数は従来の方法の比ではない。これには2つの大きな問題があり、ひとつは取引の安全性、特にクレジットカード情報の漏洩の心配である。もうひとつは、もう少し情報が欲しい、2~3確認したいことがあるがそれが明確にならないと購入を決定できない、ということである。これらのどちらのお客様も、あと一歩、あと一声で購入につながるという確率の高い見込客である。こうしたニアミスがあるので、その訪問者に対する購入率は0.1%にも満たない場合が殆どである。ここでも購入率を上げるには、相当の値引きをするか、同額程度のプレゼントをつける、といったことをした場合で、10%くらいとのことである。しかしこれでは利益は出ない。何か良い方法はないのであろうか?ということで、様々な試みがされているわけである。

北米の比較的高額商品を販売しているある企業が、自社のホームページに「Call me back」というボタンを付けて、訪問者の都合の良い時間と場所にコールセンターから電話をするという仕組みを試験的に導入してみたところ、購入率が8%になったという報告がある。これは上述したあと一歩、あと一声の見込み客が、コールセンターのエージェントと少し話しをするだけで、顧客になったということである。特にクレジットカード番号を電話で聞くということは安心感を与えるようである。また、色や素材の感触などの確認や、ちょっとした相談などが電話でできれば購入する人は結構多いのであろうと思われる。
 
更に今後は、ホームページを両方で見ながら操作ができる機能とか、インターネット電話が使える機能、チャットの機能などもコールセンターのエージェントが使えるようになると購入率の向上だけではなく、顧客満足度の向上にもつながるであろう。今後、Web機能とコールセンターの連動は注目に値する。

これは日経BP社のBizITサイトの“Business Column-4”として6/21/99に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
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「あなたにクリスマスカードが届いています」というメールに注意!
クリスマスも近づき、電子カードを送る人も増えていると思いますが、そこに付け込んだ新手のボットが出たと言うことです。

一般的に、電子カードのサービスは、カード・サービスを提供しているポータルやサイトからメールが送られて来て、そこにURLが書かれており、クリックすると、そのサイトに友だちからのカードがある、とうものですね。そうすると、カードを開くまでは、誰からのカードなのか、メール差出人からは判断できないことになりますから、メールの文面を信用して、クリックしてしまう人が多いと思います。

実際には、AOLのインスタント・メッセージング・サービスでの話しのようですから、まだ普通のメールとして出回っているようではありませんが、いずれ似たようなものが出回ると思っていた方がいいと思います。電子クリスマスカードや電子年賀状の配達メールが届いたら、誰からのカードか確認し、そしてメールの「オプション」のところで、差出人、宛先などの詳細をよく見て、間違いないかどうか、確認してからクリックした方がいいと思います。そして、怪しいものは見ない方が無難だと思います。それで見落としたとしても、親しい友だちなら、カード送ったけど、見てくれた?という確認のメールがそのうちに来るでしょうから、その時に見ても遅くはないでしょう。

詳しくは下記をご覧下さい。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20051206/225748/

唐澤豊@唐澤塾
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日経ネット時評に拙文が掲載されました
日経ネット時評に「コンタクトセンターを企業の中心に据える」というタイトルで拙文が掲載されました。
http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2005/12/it5.html

暇な時に覗いてみて頂ければ幸いです。

唐澤豊@唐澤塾
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CTIシステムの星、リモートエージェント機能―その2
---景気回復にも一役買う?---

リモートエージェント機能により在宅勤務が可能になると、子供が寝ている間とか、幼稚園や小学校に行っている間とか、好きな時に仕事をすることで、時間を有効活用でき、家庭に入った女性も社会性を保ち、生きがいを感じて、育児ノイローゼやお受験ノイローゼにならないで済むかも知れない。身体障害者の場合は今まで仕事のチャンスが少なかったと思われるが、在宅勤務が可能であれば、生きがいとなろう。コールセンターの仕事の中で、嫌われるのは、苦情処理であるが、高齢者に在宅勤務で対応してもらえばベテランの力を発揮することであろう。もう日本でもパソコンの使える定年退職者や高齢者も増えているのではないだろうか。

しかし、社会的意義があろうが、この不景気に、雇用拡大など考えられない、という経営者もおられるかも知れない。ところが、国内消費を増やすためには、小額でも良いから働いて収入を得る人が増えないといけない。そうでないと、働いていない人は支出をなるべく控えようという行動を取るのが人情である。老若男女が働くことこそが景気回復の根本策である。そうしたら皆、今よりは消費する気になるであろう。「金は天下の回りもの」と昔から言われる訳で、回れば経済は活性化する。以前に述べたかも知れないが、米国の景気が良いというのは、企業の収益性が良いのであって、働く人達個々の給料は決して高くなっているわけではない。家庭の主婦も週に6日、2箇所でパートタイムとして働いて、旦那の収入では足りない分の消費を補っているのである。しかし、それでお金が天下を回るから景気が良いのである。

在宅勤務は企業にとっても良いことがかなりある。せっかく教育して熟練者となった女性も退職されてしまうと、その投資が無駄になってしまうが、そうした人達を活用でき、通勤費も不用で、オフィスのスペースも少なくて済む。そして何よりも夜間勤務などが嫌がられるので、24時間サービス提供が困難であったが、それも可能になるだろう。自宅であれば夜中働いても良い、という人は結構いるであろう。当然夜間の時給は上げなければならないだろうが、それに見合う顧客満足度の向上が期待できるだろう。今、企業にとっては大競争の時代であり、24時間サービスは様々な業界でも必須になって来ている。

それでは、良いことばかりならなぜ普及しないのか?問題点は何か?

最も大きな問題は電話代である。現状のリモートエージェントのシステムはデータ用と音声用の2回線が必要であり、それぞれの在宅勤務者にかなりの時間接続することになると、電話代が馬鹿にならない。解決策としては、インターネット電話がそろそろ使えそうなレベルになって来たので、それを使うことで、1回線で済ませること。フリーダイヤルのサービスに付加してコールセンター用サービスも電話会社から提供するようなシステムも北米では導入され始めているので、そうしたものを日本でも提供されるようにすることである。

また、在宅勤務の問題として、能力主義による評価・管理の導入や良好な作業環境の確保など日本独特のことのほか、仲間意識や場の共有の希薄化防止策、均質な教育・訓練の方法など国際的に共通な問題などもある。しかし、だからといって始めなければ解決策も見つからないし、始めなければ景気回復も遠い、と私は考える。

これは、日経BP社のBizITサイトに“Business Column-3”として6/14/99に寄稿したものである。

唐澤豊@唐澤塾
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CTIシステムの星、リモートエージェント機能―その1
---女性・身体障害者・外国人にも雇用のチャンス---

日本企業でCTIシステムの導入を考える時、そのコストが高いことばかりが注目されて、投資回収効率の議論をしていない場合が多いということを以前に述べた。プロフィット・センターとして位置付けすることに社内合意が得られないと、コールセンター管理者としては、5年の償却として考え、その正当化をするしかない。また、たとえプロフィット・センターに出来たとしても、各企業によって投資回収効率の基準は異なるだろうが、長くても2年以内くらいでないと、稟議は通らないだろうと思われる。ではこのどちらの場合にも当てはめられないとすると、諦めるしかないのだろうか?

まだ余り知られていないと思われるが、コールセンターの中で仕事をするのとほぼ同じシステムを遠隔地でも使えるリモートエージェント機能というものを提供しているベンダーが米国には既に何社かある。この機能は、日本でこそ最も注目されるべきものではないかと思う。CTIを導入することによって、生産性、顧客満足度、収益性の3拍子揃って上がるということを以前述べたが、それは社会的な意義という観点からすれば大したことではなく、企業にとっての意義が高いだけである。然るに、このリモートエージェント機能を導入することにより、パソコン1台と電話1台あれば、コールセンターのエージェントの仕事が自宅で出来るのである。

結婚しても働く女性は増えたが、出産となるとそこで退職する場合がまだまだ多いと見受けられる。しかし、在宅勤務が可能になると、キャリアを積んでスキルの高い女性が復職することや身体障害者や外国人が仕事をすることが可能になる。世界の労働市場と比較して日本が遅れていることのひとつに、企業の中で、女性・外国人・身体障害者の比率が低いことが挙げられる。満員電車での通勤や通勤時間帯の慢性的交通渋滞が常の日本では、これらの人達には通勤はかなり過酷なことである。外国語でのサービスも様々な企業で提供されなければならないが、実現できていないのが現状であろう。在宅勤務が可能になれば、外国人に家庭で仕事をしてもらえば良い。女性・外国人・身体障害者の雇用拡大により、世界に仲間入りできる。そればかりでなく、通勤電車の混雑緩和や交通渋滞緩和が期待できるし、省エネにもつながろう。

これは日経BP社のBizITサイトに“Business Column-2”として6/7/99に寄稿しものです。

書いた時からもう既に6年以上過ぎているのですが、未だに日本では在宅勤務が進んでいませんね。

唐澤豊@唐澤塾
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日本企業では情報共有化はできないのか?
---和魂洋才を忘れた現代の日本人管理職---

私のあるメール仲間の間で今話題になっているのが、田坂広志氏の書いた「なぜ日本企業では情報共有が進まないのか」という本である。その内容についていろいろな議論がなされているが、これについて私はまだ仲間にも発言していない。何かもうひとつ根本的なところまで考えないと、本当の答えが見つからないと感じていたからである。

田坂氏は、日本の経営者たちは情報ツールを導入しさえすれば良いと勘違いしているが「情報囲い込み文化」から「情報ボランティア文化」に企業文化を変えなければ共有化は進まないと述べている。そしてそのためには、新しい人事評価導入、学習の場づくり、共感の場づくりの3点が重要とし、その手法の具体例を述べている。

私は5~6年前にいくつかの会議で「情報共有化社会と組織」について話をしたことがあり、それらの原稿を見直してみた。結論だけ言えば、日本は欧米に比べて情報化は10年は遅れている、情報化にはステップがあるから一朝一夕では追いつかない、ということを述べた。また、そのためにはフラットでアメーバ状の柔軟な組織、地位ではなく最適人者による意志決定の迅速化、結果重視の人事評価、そして価値観の明確化と共有が重要と述べた。そういう意味では、ボランティア文化というよりも、能力のある若い人がやりたい仕事を自分で選び、存分に力を発揮できるように障害を取り払うのがマネージャーの役割で、言いたいことが誰でも言えて自由闊達に議論でき、情報をどんどん提供する人が頼られ、評価される企業文化を構築することである。

この状況は今でもさして変わっていないと感じている。欧米はあれから更に進んでいるので、企業文化の改革にしても、ツールの導入にしても、日本はまだまだ追いつくところまで達していないのである。欧米が辿った情報化のステップについては第2回の「ローマは1日にして成らず」を参照されたい。最先端はCTIツールであることをここで明記しておきたい。急がば回れということで、その前にすべきことを今回は述べている。田坂氏は、企業文化は簡単には変わらないとしているが、外資系企業で働いた経験からすると、それを明確に文章化し、教育すればそれは可能であると思われる。若い人達はそれを望んでおり、変わらないと思っているのは管理職だけではないだろうか。

ではなぜ日本はツールの導入や企業文化の改革が遅れたかである。私は、根本的なところは、明治維新の頃のリーダー達が積極的に取り組んだ「和魂洋才」を、現代の日本人管理職は忘れてしまって、ああだこうだと理屈や言い訳をこねているからだと考える。かのピーター・ドラッカー博士も述べておられるように、日本人の最も優れていたことのひと
つが、外来文化や文明を日本流に変えながらうまく取り入れて来たことである。

それが、第二次大戦直後は追いつけ追い越せとばかりに、ただ闇雲に丸ごと取り入れて来た。そして、追いついたから、追い越したからもういいんだ、という空気が80年代半ばから流れ出したように思える。それは奇しくも丁度パソコンが生れ育った頃と一致している。良いものは取り入れるという精神にもう一度立ち帰らなくては、鎖国をしているようなものだが、国際化とデジタル化の重なった津波は日本列島を飲み込む程の大きさなのである。

管理職たるものは、率先して良いものはよそよりも早く取り入れて自分の血となり肉となるようにして自社に貢献すべきであろう。マグロが泳ぎ続けるように、常に変化し続けて前進しなければこれからの企業は生き残れないのだ。

これは日経BP社のBizITサイトに“Business Column-1”として5/17/99に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
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小池良次さんの「米国通信業界最新動向」を拝聴しました
日経新聞社のデジタルコア月例会で、米国の通信業界に詳しい小池良次さんの「米国通信業界最新動向」という講演をお聴きしました。

小池良次さんのサイトはこちら:
http://www.ryojikoike.com/

初めのうちの話は、大手通信会社の動向で、固定電話事業が売上、利益とも減少し、ブロードバンド(DSL)事業と携帯電話事業の売上が上向きで、利益を支えている、という予想される内容でした。

ところが、6月のスーパーコムと10月のテレコム2005の話になると、小池さんの声も高く上ずって興奮気味の感じで、日本でも話題になっている通信と放送の融合ということに留まらず、全てのサービスやアプリケーションがIP上で提供されるという夢のような話でした。

私も、1989年に全てがデジタル化されたマルチメディアの世界に興奮し、今までの仕事を投げ捨て、飛びついたのですが、あの頃の興奮がやっと2008年以降には実現されそうな話でした。だから会場の参加者も久々の高揚感を味わっていたように思います。

欧州や米国の通信事業者は今まで電話・データ通信・ビデオ配信の3つのサービスを提供するトリプル・プレイを推進しようとして来ていますが、やはり通信とデータ通信が主力であったわけです。ところがここに来て、固定電話と携帯電話を融合するFMC(固定携帯融合)が進んで来て、トリプルからクァッドラップル(4)プレイという話になって来ました。ここまでは、通信業界の人間には、常識的な話です。

それが、テレコム2005では、通信事業者から電話の話は無くて、放送(IPTV / TelcoTV)の話ばかりだったということです。それだけでなく、マイクロソフトなども、今までケーブルテレビ事業者向けにテレビも見られるパソコンというコンセプトでWindows Media Center Editionというものを提供していて、日本のパソコンメーカーもこれを搭載しているものが売れているようでした。それに加えてMSTVというテレビ放送とビデオ・オン・ディマンドなどのサービスを通信事業者が提供できるようなミドルウェアとサービスを提供しようということです。

携帯電話は第3世代のサービスが日本ではかなり普及していて、第4世代の話も始まっていますね。ところが、無線LANの技術も色々と出て来て、インターネットを活用する携帯電話、いわゆるIP携帯も話題になり始めていて、第4世代はどうなるのだろう?という感じになっています。これをひとつの世界標準に持って行くのは大変なことです。

それならいっそ、携帯電話方式と各種無線LAN方式など、あらゆる無線方式と固定系の光通信方式やDSL、CATVなども含め、全てのネットワークを融合し、シームレスに移動しながら使えるようなインフラと端末を考えよう、ということで、それが2008年頃から実現されそうだ、という話のわけです。これが実現できれば、夢のような話です。

そうなると、3つだ、4つだというサービスの競争どころではなく、マルチ・プレーとなり、マルチ・デバイス(端末)上のマルチ・サービスを競い合うことになるというのです。その場合には、ビジネスはどこで差別化するのかというと、どういうサービスをどう組み合わせるかというアイディアが勝負となる、これをブレンディング・ビジネスと呼ぶのだそうです。

いや~、なかなか面白くなりそうですね。
次世代ネットワークでは欧州が進んでいて、米国や日本は遅れていると思っておりましたが、さすがに米国には目先のことよりも大きな枠組みを考えることが得意な連中が居るようです。

日本や韓国がブロードバンドの普及や形態電話のデータ・サービスでは進んでいるという話をよく聞きますが、それは表面上のことである、ということを肝に命じ、将来を見据えた研究開発をしないといけませんね。日本人の中に、そうしたことを考えられる人がいないわけではないと思いますが、そういう人が日の目を見ないような傾向が、バブル崩壊後はますます加速されてしまったように思われます。

多様化の時代、個性の時代と言われ、ユニークな考えや個性を育てないといけない、ということは言われていますが、現実の教育は、学力低下を気にしてまたまた均一的な詰め込み教育に戻ろうという動きさえあって、自立した社会力を持ち、個性ある若者を育てるという社会に日本がなるのは時間が掛かりそうですね。

唐澤豊@唐澤塾
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ボーダーレス時代のビジネス戦略
---ダイムラー・ベンツ日本の例から学ぶべきもの---

ある雑誌に、ダイムラー・ベンツ日本の事例が紹介されていた。概要をまとめると以下のようなサービスを提供しているという。そのために、自動車電話を標準搭載し、コールセンターに自動的に接続するようにしているのだ。

1) 顧客サポート、2)緊急通報サービス、3)ナビゲーション・サービス(プロバイダー事業)、4)インターネット通信サービス(プロバイダー事業)

カーナビには、独自に様々な情報提供サービスをしており、インターネットでは独自のモールで通信販売も行っている。

この例から、何が学べるだろうか?私は、ベンツという高級車のメーカーから、高級車のオーナーとその家族に向けて様々なサービスを提供する会社に変身しているように見える。自動車も他の産業と同様に、先進諸国では、もう市場は飽和状態になって来ている。これからは、車のメーカーということだけに枠をはめていると、ジリ貧になることが予想される。

日本ではトヨタが通信分野などに積極的に投資しているが、ホンダは車に専念して市場シェアの向上を計画しているように受け取れる。日産は色々な分野に投資しているが、それぞれの収益性は別として、成功しているのは宇宙事業かと見受けられる。日本企業の場合、新規事業は既存顧客を対象にするのではなく、新規顧客獲得を前提にしていることが多く見受けられる。そのためには、以前に述べたように5倍の経費をかけているわけで、なかなか黒字体質までに持っていけないのではないかと思われる。

こうした企業の戦略を比較してみると、これからのボーダーレス時代における事業戦略はどうあるべきかが見えて来る。ベンツはまさに顧客識別マーケティングの方向に向っていると言える。日本では、まだそうした明確な方針を打ち出している大企業は余りないのではないか。私が知らないだけなら良いのだが。

これからの生き残り戦略の根本は、自社のターゲットとなる客層を明確にし、それらの顧客が望む商品(サービス)を、最新情報ツールを導入したコンタクトセンターを通して今までの枠に捕らわれずに提供する。そして、クロスセルと呼ばれる関連商品の販売と、アップセルと呼ばれる、より高機能で高額な商品を購入して貰うことである。そしてそれぞれの顧客との長期的で良好な関係を築き上げてロイヤルティーの高い優良顧客を確保・維持・増加することである。

これまで12回に渡り、ホワイトカラーの生産性向上がこれからの生き残りのための唯一の方策であるということを述べてきたが、まだまだ言い足りないことがいっぱい残っている。何かの機会に更に述べることができればと思っている。また、一方的に私見を述べてきたので、反論やご批判も多々あろうかと思われる。そうした方は下記に電子メールを頂ければ幸いである。
karasawa@genesyslab.co.jp

これは、Nikkei BP “CTI Online 4/20/99”“Business Column-12”として寄稿したものです。もちろん上記メールは現在は使えないので、念のため。

唐澤豊@唐澤塾
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PROFILE
唐澤 豊
  • Author:唐澤 豊
  • 還暦を期に長髪から一気に坊主頭にしました。これから20年間、第2の成人を迎えるまではこれでいこうと思います。でもやっぱり冬は寒いし、夏は暑いので、帽子を愛用しています。
    ●情報通信業界の米国系企業を中心に40年間、営業以外の仕事はほとんど経験。技術以外には、マーケティング・ブランディング、組織論、人事評価制度、企業文化なども経験。今まで3つ会社を始めましたが、被買収・売却などの後、4つ目の会社を後任に任せたところで、一昨年、仲間2人ともうひとつ会社を設立し、非言語コミュニケーションのサービスを開発中です。
    ●経営労働管理士。日本躾の会理事。
    ●音楽(ビートルズ、S&G、フォーク、ニューミュージック等)、グラフィックデザイン、水彩画を趣味とするので、マルチメディア技術の活用に大いに期待しています。読書、宇宙の真理探求が最近の趣味。ストレッチ、真向法、西勝造先生の西式健康法を実践中。
    ●故津留晃一さんの著作や講演録(CD)に触れて「人生の目的は体験することである」ということに納得しています。
    ●詳しいプロフィールは「自己紹介」のカテゴリーにあります。
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