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東北被災地復興と原発事故収束
以下は日本躾の会の広報誌「ふれあい」2014年4月号に寄稿したものである。

東北被災地復興と原発事故収束

はじめに

東日本大震災の被災地復興が余り進んでいない。そして震災・津波の影響を受けて事故を起こした東電福島第一原発事故の収束も進んでいない。被災地以外に住む日本人は、大震災のことも原発事故のことも、忘れてもう無関心のようにも見える。私はどちらにも非常に関心はあるが、被災地を訪れたことも、ボランティアに行ったこともない。最大の理由は、正確に計測して放射線量のデータが公表されていないため、現地に行って、どれくらい被曝するのか不明だからだ。いや、モニタリング・ポストもあり、計測データはあるだろうという人もいるだろう。しかし、そうしたデータが、正しくない、という情報が色々あるために、信用できないのが問題なのだ。そして、被災地をどういうビジョンに基づき復興するのかというコンセンサスすら得られていないため、何をどうするのが良いかを判断できないのだ。

復興ビジョンを早急に構築せよ

復興の構想は大きく分けて三案あるように聞く。最初に出てきたのは、もう二度と津波被害に遭わないように、低地には住宅を建設せず、全ての住宅は高台にだけに建設するというものだ。それに対して、漁業関係者は、やはり港の近くに住んでいないと不便だから、高い防潮堤を作り、以前のように海岸の近くに住むことも認めよというものだ。学者から出てきた最新の提案は、学校、病院、市庁舎、発変電施設などの重要インフラ施設だけは高台に移し、そこへの避難路を作り、住宅は以前の場所に建てても良いというものだ。これらについて、被災者、行政、政治家、学者が集まり、復興後のビジョンを議論して、一刻も早くコンセンサスを得ることを先ずやらなければならないと思う。
更に、福島第一原発の周辺地区は、登記地籍ごとに放射線量を測定した後、(一)居住・農耕ができない強制避難区域、(二)居住・農耕は薦めない避難推奨区域、(三)希望者は避難できる避難支援区域、(四)居住・農耕可能区域、等を早く明確にする必要がある。放射線量の基準値を非常事態のために甘くしたまま、除染が終われば、いずれ帰宅できるような期待をさせている現状は、行政としては間違いだろう。

福島第一原発は最早手が付けられない

東電、政府、経産省、原子力規制委員会、国際廃炉研究開発機構などは明言していないが、福島第一原発には更なる危機が迫っている、と私も参加している民間福島原発事故収束委員会は考えて、緊急声明を一月二十七日に発表した。周辺住民を再度避難させるべき危機的状況なのに、マスコミは報道しない。メルトアウト(炉心漏出)した核燃料が、地下水脈に接触し、核分裂反応が再開する危険があり、大規模な水蒸気爆発が起きる可能性があると収束委員会を代表する立命館大学の山田廣成教授は警告している。東電はこのところストロンチウムの測定データを公表していないが、数値が高すぎて公表できないのではないかと疑ってしまう。
山田教授は事故直後の六月に、水冷式では汚染水がどんどん溜り、処理が困難になるので、鉛による空冷式にすべきだと提案したが、国も東電も聞き入れず、未だに収束するどころか、とうとう第二の危機が迫っている。もう手遅れで、手が付けられない状況になったと判断されると山田教授は指摘している。原爆の約五倍と想定される核燃料のメルトアウトは、従来の百倍以上の量の高濃度汚染水を海洋へ流出させる可能性と、事故当時のような高濃度の放射性物質が大気中に放出される可能性は否めない状況なのである。

事故原発の収束が進まない理由

民間福島原発事故収束委員会が提案している鉛冷却法は、熔けた核燃料を鉛で覆うことにより、放射線を外に出さないことと、汚染水を作らないという利点がある。そんな良い方法なのに、なぜ東電や経産省・国際廃炉研究開発機構は、この方法を検討し、採用しようとしないのかと疑問に思う方も多いと思われる。
経産省は原発事故後、色々な提案を公募して来た。しかし、基本方針を決めていて、それに合う提案しか採用していない。即ち、事故が起きた原子炉と使用済み核燃料は、先ず水で冷やす、そこで出て来る汚染水の処理は新たな方法で実現する、そして冷えた核燃料を取り出し、更に冷えるまで保管してから、六ヶ所村にある核燃料再処理工場に移管する、という考えのようだ。
しかしこれは原発を緊急停止して、核燃料がまだ原子炉内に留まっている場合の処理であって、原子炉建屋のコンクリートも熔かして、地下深くにまで潜り込んでしまった場合は、取り出すことはほぼ不可能だから、諦めるしかないだろう。事故が起きた年の六月に鉛冷却法を検討していたら、ここまで酷い状態にはなっていなかったであろうと思うと、非常に悔やまれる。
それなのに、経産省や東電は取り出すことに拘っているため、鉛で固めて覆う方法には難色を示しているようなのだ。そんなことをしていると、今度は地下で水蒸気爆発が起きるだろうが、ロシアは昨年末に福島の地下で爆発があったことを検知し、警告を発している。
福島第一原発は熔けた核燃料は鉛で固めて全て廃炉にし、石棺化して「人類が制御不能となった原発がここにありき」ということを後世に伝えるためのオブジェにすべきである。


唐澤豊@唐澤塾
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東京五輪と福島原発事故収束
以下は日本躾の会の広報誌「ふれあい」の2013年12月/2014年1月合併号に寄稿したものである。

東京五輪と福島原発事故収束

二〇二〇年東京五輪開催が決まった。安倍総理が五輪招致の最終演説で福島事故はコントロールできていると述べたことが、事実とは異なり、国際社会に対して大嘘をついたとされ、世界の目は必ずしも好意的ではなく、辛辣な風刺画が欧州メディアを中心に出ている。また国内でも、福島原発事故が収束していないし、復興の目途も立っていないのに、数千億円もの費用を東京五輪に費やすくらいなら、事故収束、被災地の子どもたちを疎開させる、被災地復興等に使え、という意見もネットの世界では噴出しているが、マスコミはそれらを余り報道していない。
ネットの世界では、五輪開催に疑問を投げたり、批判したりすると、それでも日本人か!一旦決まったことは一致協力して成功させるべきだろう!といった同調圧力が広がっており、戦前・戦中の様相を呈し始めている。
また、二十五年も掛って、やっと野鳥たちの楽園になった葛西臨海公園の一部を、東京都がコンクリートで固めたカヌー競技場にしようとの計画に対し、別の場所に変更せよとの陳情もあるが、多くの都民は知らない。
更に、共産党の東京都議団が都内の放射線量を測定したデータを見ると、臨海地区を中心に、かなり線量が高い地域もあり、世界各国が参加するのだろうか?と疑問視する意見もある。
そうした中、現政権は秘密保全法の成立、TPP締結、消費税増税、といった重要事項を数の力で押し通そうとしている。そのため、東電・政府は、これから福島事故関連で出て来る情報を隠蔽し、それを暴こうとすれば、秘密保全法で封じ込めるのではないか?という憶測がネットの世界で広がっている。
福島原発事故収束の一環として、汚染水の漏洩防止のための遮水壁や原子炉と溶融核燃料の冷却について、国際調達の話が出てきた。
東京五輪、福島事故収束、被災地復興には相当の資金が必要だから、消費税増税は当然だ、という雰囲気が作られ始めている。
これらの事業には米国を中心とするグローバル企業が入札し、TPPを背景に圧力を掛けて落札しようとするだろう。
現在の混乱状況は政治家や官僚の資質の問題とマスコミが機能していないこともあるが、我々国民一人ひとりがこうした問題から目を逸らさず、議論して行き、民主主義を確立する必要があろう。


唐澤豊@唐澤塾



PROFILE
唐澤 豊
  • Author:唐澤 豊
  • 還暦を期に長髪から一気に坊主頭にしました。これから20年間、第2の成人を迎えるまではこれでいこうと思います。でもやっぱり冬は寒いし、夏は暑いので、帽子を愛用しています。
    ●情報通信業界の米国系企業を中心に40年間、営業以外の仕事はほとんど経験。技術以外には、マーケティング・ブランディング、組織論、人事評価制度、企業文化なども経験。今まで3つ会社を始めましたが、被買収・売却などの後、4つ目の会社を後任に任せたところで、一昨年、仲間2人ともうひとつ会社を設立し、非言語コミュニケーションのサービスを開発中です。
    ●経営労働管理士。日本躾の会理事。
    ●音楽(ビートルズ、S&G、フォーク、ニューミュージック等)、グラフィックデザイン、水彩画を趣味とするので、マルチメディア技術の活用に大いに期待しています。読書、宇宙の真理探求が最近の趣味。ストレッチ、真向法、西勝造先生の西式健康法を実践中。
    ●故津留晃一さんの著作や講演録(CD)に触れて「人生の目的は体験することである」ということに納得しています。
    ●詳しいプロフィールは「自己紹介」のカテゴリーにあります。
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