唐澤塾
唐澤豊が情報通信技術+経営術+人生術+創造性を中心に一期一会を追求する私塾
第2期唐澤塾:メルマガ#8:新しい経営の基本は継続的廃業
さあこれから起業しよう、という人には恐縮な話であるが、これからの企業(といっても一人の場合もあるが)を経営して行く場合には最初から廃業のことを考えていた方が、荷が軽く、スピード時代に合わせて迅速な対応が取れると思う。

それは、以前にも述べたように、事業計画を立てる場合も「これは絶対行けるはずだ」と思いついたら、世界中では他に同じようなことを考えている人間が20名くらいは居ると思った方が良いということで、そうであるからこそ、早くそのアイディアを実現させる必要がある。従って計画は完璧でなくても、走り出してしまうことである。そして走りながら考えるのであるが、反応を見て、感じて、期待するような結果が出なければ、その原因を究明して軌道修正すれば良い。

それを何度か繰り返すわけであるが、昔のように「石の上にも三年」とじっと我慢して結果を待つようなことはしてはならない。毎月役員会なりマネージャーを含めて事業計画の進捗状況を詳しく検討することである。そしてそこでは、いつでも廃業する覚悟で、自分が一般投資家ならこの会社の株を買うか、持ちつづけるか、という視点で見ることが大切である。

事業内容にもよるが、情報サービス関連であれば、6ヶ月で結果が思わしくなければ、その事業を継続するか廃業するかを社内で真剣に問いかけてみることである。まだこの時点で廃業するには早すぎる、と判断した場合には、後6ヶ月で初期目標に近づける方策とその根拠があるか、目標が間違っていたから変えるか、のどちらかであれば継続する。そのどちらでもなく、可能性が見出せないとしたら6ヵ月後に廃業することを目標として、最後に出来ることを全社一丸となり全力でやってみることだ。

同じ情報関連でも、開発や製造に関わる事業であると、これらの期間は倍くらいと考えれば良いのではないかと思われる。即ち、1年後に継続か廃業かを判断し、最短は2年で廃業する。

いや、もう少し頑張れば芽は出る、と考えるのが一般的であるが、私のいくつものインテルでの経験と、カタパルトの経験からすると、2年で駄目だということは、その事業を展開するには時期が早すぎた可能性が多々あった。

例えばカタパルトのネットワーク・ゲームは3年前では早すぎたが、去年から今年にかけて、ようやくアメリカではある程度のビジネスになって来ている。この場合、廃業の決断は1年後にやった。

またインテルで6年ほど前にやった"ProShare"という、パソコン上で、ワープロ、表計算、プレゼンテーションなどのアプリケーションとデータを共有しながらビデオ会議をすることが出来るシステムも、ISDNの普及が今一であったために早すぎたのと、高すぎたため売れなかった。

それが今ようやくネットミーティングという形で実現されつつある。この場合は、それより遡ること4年前からCD-ROMベースのマルチメディア・ビジネスとしてカラオケ、ゲーム、電子ブックなどの試みからスタートして、ネットワーク型へと変更していたので、ある意味では継続的に廃業していた。

インテルの継続的廃業で最も有名なものは、自社が世界に先駆けて開発したダイナミックRAMからの撤退と、それに続くスタティックRAM、電気的に書き換え可能なEEPROM、不揮発性メモリーNVRAM、バブルメモリー、4ビットマイコン、8ビットマイコン、2ビットのビットスライスCPU紫外線で消去するEPROMなど枚挙に暇がない。これらは、他社からすれば、十分な利益が上がっていても、CPUというお化け商品の利益率が余りにも高かったことで、それに比較されて廃業となった事業も数多くあるが、結果論からすると、それはそれで正解であったのだ。

インテルでは毎月どこかの事業部のオペレーションズ・レビューというものをやっていて、社長・副社長クラスの前で、事業部長と部長等が、事業の進捗状況を報告し、喧喧諤諤の議論をするのである。レビューされる側からすると、これがなかなか大変で、かなり前から準備をし、リハーサルを上司や同僚の前でやったりしても、いざ本番となると予期せ
ぬ角度からの質問をされたりして、タジタジとなったりするわけであるが、時間は決められた時間内で終わるルールになっているから、説明の半ばどころか、下手をすると、最初の数ページで議論となってしまい、ほとんど進まないままに時間切れとなることもある。そうすると、再度挑戦ということになるが、難を逃れたというのではなく、更に大変なこ
とになるわけで、廃業の結論を早める結果になり兼ねないから、遅らせないで早く全部を説明して理解を得たい、という心境になる。時間通りに議事進行ができないことも、事業部長とすれば大きなマイナス評価であるからだ。

こうした例のように、常に廃業してもっと利益の出る別の事業に資源を投入すべきではないか?という問いは継続して持ち続けることが、これからの企業経営を成功するための秘訣である。それが株主を第一に考える資本主義の原則でもあるが、日本の経営者は株主は3番目に重要と考え、第1は社員、第2は顧客と答えるということだ。日本企業の改革の
根本は、経営者が、まず株主のため、と考えるようになることである。

今、アメリカでは、社員が自社株を持つケースが増えており、経営者も大量のストックオプションを貰っているから、誰もが株価を意識しながら毎日のビジネスをしているので、株主様=社員+経営者という図式になって来ており、資本家・経営者・労働者という昔の対立はベンチャー企業では起こらないのである。それよりは、株主+社員 対 経営者という図式で、一番大変なのは経営者であり、朝早くから夜遅く迄、そして週末も働くというのがベンチャー企業の経営者の姿である。この点、まだ日本は労使対立などが依然として強く残っている企業もあり、改革による業績回復を遅らせていると見られる。
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唐澤 豊
  • Author:唐澤 豊
  • 還暦を期に長髪から一気に坊主頭にしました。これから20年間、第2の成人を迎えるまではこれでいこうと思います。でもやっぱり冬は寒いし、夏は暑いので、帽子を愛用しています。
    ●情報通信業界の米国系企業を中心に40年間、営業以外の仕事はほとんど経験。技術以外には、マーケティング・ブランディング、組織論、人事評価制度、企業文化なども経験。今まで3つ会社を始めましたが、被買収・売却などの後、4つ目の会社を後任に任せたところで、一昨年、仲間2人ともうひとつ会社を設立し、非言語コミュニケーションのサービスを開発中です。
    ●経営労働管理士。日本躾の会理事。
    ●音楽(ビートルズ、S&G、フォーク、ニューミュージック等)、グラフィックデザイン、水彩画を趣味とするので、マルチメディア技術の活用に大いに期待しています。読書、宇宙の真理探求が最近の趣味。ストレッチ、真向法、西勝造先生の西式健康法を実践中。
    ●故津留晃一さんの著作や講演録(CD)に触れて「人生の目的は体験することである」ということに納得しています。
    ●詳しいプロフィールは「自己紹介」のカテゴリーにあります。
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