唐澤塾
唐澤豊が情報通信技術+経営術+人生術+創造性を中心に一期一会を追求する私塾
テッサ・モーリス=スズキ、日本のメディアを語る
8月27日号のTUPのメルマガで首記のようなものが配信されて来ました。
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/580

長文だったので、まだ読んでいなかったものをやっと読みましたが、例の朝日新聞とNHKと争っている、政治家の干渉でNHKの番組が改変されたのかどうかという問題を中心に、海外から見た日本のマスメディアの現状を解説し、マスメディアの自立性の危機として捉え、海外に訴えているものです。

海外に滞在した経験のある人は、日本のことは海外から見た方が良くわかる、とよく言いますが、このSuzuki氏のエッセーも、なるほどと思います。我々日本人は、こういう情報を英語でもっともっと発信しないといけませんね。

翻訳者の紹介文章は以下のようなものですが、いずれ書籍として発売されるようです。

☆日本のメディアで何が起きているのか★

このエッセーは、テッサ・モリス=鈴木さん自身も下支えしているインターネット上のメディア、Asiarights《*リンク》に、非日本語圏のひとびとのために、日本のメディアで何が起きているのかを説明するために発表されて話題を呼んだものである。日本語圏の読者には自明であったり、またそうであるがゆえに不可視になっていたりすることも含まれているかもしれないが、このように外部の、それもきわめて洞察力豊かな視点から眺めることで、同じ事態がまた違った奥行きをもって解読可能になるのではないだろうか。なお、原文には詳細な二十一項の註がついていたが、非日本語圏の読者を想定したものでもあったことから、割愛した。また文中には[…]という割注形式で訳注を付した。岩崎 稔 /MEKIKI-net
http://rspas.anu.edu.au/asiarightsjournal/


そして、タイトル、サブタイトル、節のタイトルだけご紹介すると、

言論の自由、沈黙させられた声――日本のメディアとNHK問題
――テッサ・モーリス=スズキ
ジャパン・フォーカス 2005年8月13日掲載

メディアと女性国際戦犯法廷
告発者の物語
メディア、自立性、権力
「公平でバランスのとれた報道」
自由な論争を求めて


詳しくは上記TUPのサイトでお読み頂くとして、私が一番共鳴した部分は以下の文章です。

事件は日本の主流派メディアの構造的な問題を照らしだした。しかし、それは同時に、政治とメディアのあいだのつながりがもつ息苦しくなるような勢力に対して、抵抗の基盤として役立つかもしれないような日本社会のいくつかの特徴にも光をあてることになった。

民主党からも主流派の全国メディアからも、政府とNHKとのあいだの関係を徹底的に調査せよというはっきりした要求が出てこなかったために、この問題を取り上げるという課題は広く日本の民衆にゆだねられている。

事件が明らかになった週に(自分たちの主張を広げるためにつねにインターネットを利用している)たくさんの市民社会のネットワークが、メディアに対する政治介入を批判して声を挙げた。政治家に放送予定の番組の内容を説明するのは「通常の業務である」とNHK幹部が表明したこは、「NHK視聴者のストライキ」を引き起こし、多くの市民は政治的影響力からの独立性をふたたび確立するまで、受信料の支払いを留保すると宣言した。

こうした運動そのものが、日本のメディアのなかでどのように報道されてきているのかは興味深い。『朝日新聞』『毎日新聞』『日本経済新聞』は、それについて短く報道したが、予想通り、国民的メディアの大半によって黙殺された。

しかし、運動は、日本の多くの地方新聞ではかなり広範に記事になつた。『北海道新聞』や『高知新聞』は、NHKが政治的な圧力からの自立性を守るように保証する市民の行動を支持する社説を掲載した。当然にも地方メディアは、その土地の勢力家の家族と財政的にも人脈的にも緊密な結びつきがあることが多いし、こうした一族はその地域の問題の報道する新聞の姿勢にも影響を与えかねない。しかし同時に、そうした地方新聞は、(たいてい東京に拠点をおく)全国メディアよりも、中央政府から距離をとっている。そして、政治家や政府の役人に人脈的に依存することもずっと少ない。そのため、そうした新聞はより積極的に、批判的、自立的な仕方で全国ニュースを報道するか、あるいは主流派の全国メディアが無視する社会問題をとりあげようとすることがある。

たしかにインターネットのチャットグループが、全国的な弱いものいじめの場として使われてしまうような昨今のケースがあったにしても、インターネットは、自由な公共的論争のための重要で可能性の豊かな場を作りだしている。あらゆる非政府組織が主流派メディアに同じように取り上げられるチャンスを持っているわけではない。

だが、公衆に自分たちの見解を伝達するための手段としてのインターネットには、だれでも平等にアクセスできる。韓国にひろがっているインターネット新聞のようなメディアは、日本ではなかなか根をおろせないでいるが、オンラインジャーナリズムの実験は、しだいに大きな関心をひきつけるようになってきている。これらはインターネットテレビサービスVideonews.com のようなサイトを含んでおり、NHK事件についても重要な材料を放送している(そのなかには、告発者長井氏の記者会見のノーカット版や日本のジャーナリストやメディア研究の専門家グループによる「事件を調査せよ」というアピールも含まれていた)。インターネットメディアは、主要紙では聴き取られることのない声のための空間を開き、既存の境界をこえたさまざまな連携の可能性を創出し、日本でメディアの問題に関わっているひとびとが、自分たちの意見をひろく共有しあい、他国における類似の問題を抱えるひとびとの経験から学ぶことを可能にしてくれる。

市民社会、地方メディア、そして新しいオンラインネットワークが手をたずさえたならば、ひょっとすると、日本の主流派ジャーナリズムをますます包摂しつつある自己検閲と大勢順応という腐敗した風土に対して、それが対抗力を生み出す日がいつか訪れるかもしれない。


一読の価値があると思いますので、時間のある時に、全文を是非お読み下さい。

唐澤豊@唐澤塾
http://www.irisa.com/jp/
http://sohmokutoh.blog9.fc2.com/
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PROFILE
唐澤 豊
  • Author:唐澤 豊
  • 還暦を期に長髪から一気に坊主頭にしました。これから20年間、第2の成人を迎えるまではこれでいこうと思います。でもやっぱり冬は寒いし、夏は暑いので、帽子を愛用しています。
    ●情報通信業界の米国系企業を中心に40年間、営業以外の仕事はほとんど経験。技術以外には、マーケティング・ブランディング、組織論、人事評価制度、企業文化なども経験。今まで3つ会社を始めましたが、被買収・売却などの後、4つ目の会社を後任に任せたところで、一昨年、仲間2人ともうひとつ会社を設立し、非言語コミュニケーションのサービスを開発中です。
    ●経営労働管理士。日本躾の会理事。
    ●音楽(ビートルズ、S&G、フォーク、ニューミュージック等)、グラフィックデザイン、水彩画を趣味とするので、マルチメディア技術の活用に大いに期待しています。読書、宇宙の真理探求が最近の趣味。ストレッチ、真向法、西勝造先生の西式健康法を実践中。
    ●故津留晃一さんの著作や講演録(CD)に触れて「人生の目的は体験することである」ということに納得しています。
    ●詳しいプロフィールは「自己紹介」のカテゴリーにあります。
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