唐澤塾
唐澤豊が情報通信技術+経営術+人生術+創造性を中心に一期一会を追求する私塾
いよいよヒラリー・クリントンが表舞台に登場!?
村上龍氏が発行しているメルマガJMMに、毎週土曜日『from 911/USAレポート』 を寄稿している冷泉彰彦氏の最新号「第215回」は、「911からカトリーナへ」というタイトルで、ハリケーン問題が共和党と民主党の政争の具になりつつある、という報告です。

中でもヒラリー・クリントンの発言で大きな変化が現れている、という点が、注目されます。以下にその一部を抜粋してご紹介します。

そんな中、集中砲火を浴びているのが、FEMA(緊急事態支援庁)という連邦組織です。ハリケーンの上陸直後から、ルイジアナに入って対策を指揮していたのが、このFEMAのマイケル・ブラウン長官でしたが、初動の遅れから始まって、市、州、連邦のコーディネーションがうまく行かずに、特にニューオーリンズでの被災者の救援活動が停滞した、その当面の責任がブラウン長官にあるというムードが強くなって行きました。

この「ブラウン批判」は被災3日目に、ニューオーリンズのスーパードームや、コンベンションセンターに避難した2万人と言われる被災者が水と食料の欠乏に苦しんだあたりから始まり、二度のブッシュ大統領の被災地訪問でも止みませんでした。そして、決定的になったのは今週半ばのヒラリー・クリントン上院議員の発言です。

それは「私が夫と共にホワイトハウスにいた8年間、FEMAは閣僚級の長官を擁した立派な連邦組織でした。それを、911以降の風潮の中で国土保安庁の傘下において権限を縮小したばかりか、大幅な予算カットと人員削減がされたのです」という批判でした。

被災地とは地縁の薄いヒラリーが、こんな形で渦中のFEMAを徹底攻撃する、これは表面的に見ると「ハリケーン災害を2008年大統領選への向けての政争の具にする」そのものの発言です。そしてその要素は否定できません。ですが、このヒラリー発言はある決定的な重みを持ったのです。

それは、ヒラリーが政治的なスターとしてのカリスマを発揮しているからではありません。民主党がヒラリーを全面に押し立てて政府批判をしようとしていて民主党員が支持を寄せているからでもありません。この指摘が、共和党と民主党の対立軸を浮き彫りにするものだったからです。

NYタイムスの解説によると、ヒラリーが批判したブッシュ政権によるFEMAのリストラは真実で、しかも共和党は政権奪取に際して、クリントン時代のFEMAを「大きな政府論による浪費の牙城」だとして、自分たちの「小さな政府論」の理想を推し進めるためにバッサリやったのだそうです。

ヒラリーに言わせると「90年代にはハリケーンを始め、様々な天災に対する救援活動の専門家が長官、副長官クラスにいたのに、全部解雇されて何も知らない素人ばかりになった」というのですが、その素人呼ばわりされたブラウン長官は、先週の時点で「FEMAの役割は直接の救援ではありません。市と州と州兵と軍が連携を取るためのコーディネーションが任務なのです」と言って、専門家がいないことは問題ではないし、自分たちは直接の活動はしないのが正当だと述べていました。

正に「大きな政府、小さな政府」の論争の典型です。この問題こそ、民主党と共和党の対立軸の根本であり、この問題で結集できれば民主党は、政治的な主導権を取り戻せる、そんな大問題だというわけです。確かに災害を政争の具にしているのかもしれませんが、こうした選択こそ政治の責任であるのだとすれば、災害の渦中にあっても堂々と論陣を張ることには一定程度の説得力が出るというわけです。


日本も総選挙が終わって、自民党が圧勝し、民主党は立て直しのため、若い前原氏を党首に選びましたが、米国の共和党と民主党という二大政党のように、論点は「大きな政府」か「小さな政府」かということにしないと、現状のままでは民主党は第二自民党という位置付けになってしまい、存在価値は薄れてしまうと思います。

以前、ある企業が主催したセミナーで、大前研一氏が講演し、当時は丁度米国の大統領選挙の後であったこともあり「日本の民主党も浪人となったアル・ゴアさんを党首に迎え、同じ民主党なのだからそのノウハウを教えて貰い、指導して貰う、くらいのことをしないと政権は取れない」と言っていたのが印象的です。

唐澤豊@唐澤塾
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【2005/09/20 16:43】 | # [ 編集]

大きな政府か小さな政府か?
FYさん、

コメント、ありがとうございます。

アメリカの民主党は、どちらかと言えば、やはり大きな政府という方針なのだろうと思います。その上で、軍事費と教育・医療・福祉といった国民のためにお金を使うか、軍=産業界=経済界のために税金を使うのか?というところで、共和党と対立しているので、比較しやすいと思います。また、政府=官僚=公務員ではなく、アメリカの官僚は大統領が変われば、入れ替わるくらいですから、公務員が多い、ということではなく、予算が大きい、ということで、その実行は民間に委託しても良いわけです。

しかし、日本の民主党の場合、新党首の前原さんの考え方では自民党と大差なく、民のためではなく、経済界のための政治を考えているようで、差別化できないからうまく行かないと思いますね。

日本の現状の公務員・官僚制度や財団・社団・特殊法人を残したままの大きな政府では問題は更に深刻化するでしょうから、大きな政府で少ない公務員、という新しい提案が必要だろうと思います。その事例は北欧にあるように思います。

また、例えば、障害者のためのバリアーフリー化など国や自治体が税金を掛けてやっていますが、わずか2%くらいの人たちのために、それだけの税金を使うことがいいのかどうか、考え直す必要があると思っています。それよりは、障害者にクーポンを渡して、それを階段や段差のあるところなどで、手伝ってくれた人に渡し、そのクーポンをお金に換えたり、買い物ができたりすれば、ニート、フリーター、失業者に仕事を与えることになり、一石二鳥ではないかと思いますけど、どうでしょうか?

こうすれば、福祉予算を産業界にたれ流しするのではなく、国民に還元することになり、癒着だの談合だのの余地は無くなるのではないかと思います。バリアフリーひとつを取っても、やっぱりまだまだ、箱物に税金をつぎ込む日本的な体質は変わっていないと思いますね。

これからはもっと人に、それは即ち教育にということになりますが、投資するように発想を変えないといけまんね。日本は天然資源が少ないのですから、人材だけが財産のはずです。
【2005/09/21 23:38】 URL | 豊 #- [ 編集]


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唐澤 豊
  • Author:唐澤 豊
  • 還暦を期に長髪から一気に坊主頭にしました。これから20年間、第2の成人を迎えるまではこれでいこうと思います。でもやっぱり冬は寒いし、夏は暑いので、帽子を愛用しています。
    ●情報通信業界の米国系企業を中心に40年間、営業以外の仕事はほとんど経験。技術以外には、マーケティング・ブランディング、組織論、人事評価制度、企業文化なども経験。今まで3つ会社を始めましたが、被買収・売却などの後、4つ目の会社を後任に任せたところで、一昨年、仲間2人ともうひとつ会社を設立し、非言語コミュニケーションのサービスを開発中です。
    ●経営労働管理士。日本躾の会理事。
    ●音楽(ビートルズ、S&G、フォーク、ニューミュージック等)、グラフィックデザイン、水彩画を趣味とするので、マルチメディア技術の活用に大いに期待しています。読書、宇宙の真理探求が最近の趣味。ストレッチ、真向法、西勝造先生の西式健康法を実践中。
    ●故津留晃一さんの著作や講演録(CD)に触れて「人生の目的は体験することである」ということに納得しています。
    ●詳しいプロフィールは「自己紹介」のカテゴリーにあります。
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