唐澤塾
唐澤豊が情報通信技術+経営術+人生術+創造性を中心に一期一会を追求する私塾
ミレニアム維新への夜明け---IT革新と明治維新
最近、IT(情報技術)革命という言葉を聞かない日はない。革命というからには、現体制の指導者たちの首を切り、改革を断行するのかと想像してもおかしくはない。それがたとえ経済界だけの話であっても、企業経営者の首がすげ替えられ、大量の失業者や自殺者がでる、とIT革命という言葉からは連想される。それに比べると、明治の人たちは偉かった。革命に等しい大変革なのに、維新という無血革命を目指した。

コンピューターは私と同じ一九四六年に誕生したから、もうすでに五四歳である。誕生からずっと、改善と革新が続いている。最新の情報技術とはインターネットと呼ばれるものである。それは通信とコンピューターの技術を結び合わせたものである。あえていうならインターネット革命である。今起きているのは「IT革新」であり「IT革命」ではない。そして信州が生んだ文豪、島崎藤村が書いた「夜明け前」の頃に自分の身を置いてみれば、この大きな変革をどう捉えれば良いかが理解しやすいのではないか。

江戸から明治への大変革のように、世は正に二十世紀から二十一世紀への幕末である。現在進行中のIT革新は、過去二千年から次の千年紀への維新、すなわち「ミレニアム維新」の始まりと考える。高杉晋作や坂本龍馬のような維新推進役は、ソフトバンクの孫正義やソニーの出井伸之などと考えて良いだろう。今の日本の政財界に分別のある実力者がいるとすればだが、勝海舟や西郷隆盛のような人たちは、世代間の調整役に徹するべきだ。若い世代から、伊藤博文や大久保利通のような国家百年の計を立てられる政治家や、岩崎弥太郎や渋沢栄一のような起業家がどんどんでることを期待したい。渋沢栄一は生涯で1500もの会社や団体を起こしたという。

明治維新は、黒船が下田沖に迫った結果、鎖国から開国へ向かい、大政奉還により王政復古し、明治政府ができた。その政策は、富国強兵・殖産興業であった。そして和魂洋才という知恵で文明開化を推進した。

ミレ二アム維新を明治維新に当てはめてみると、ITという黒船が迫っており、財閥・系列などによる日本的商売や、法律だけでなく省令・政令による規制など、外国から見たらわかりづらい厚い壁があり、ソフトウェアは良いものが海外にあっても日本語化しないと売れないし、英語情報の少なさなどで現在の日本は、情報鎖国をしているに等しい。そこに?規制緩和、?情報公開、?国際標準化という開国を迫られている。ITを十分理解できない経営者や政治家はいさぎよく「還暦引退」して世代交代すべきである。維新政府の取るべき方針は、小さな電子政府である。そして国民ひとりひとりが自立し、ITを活用して起業することがすなわち国が富むという「富国強民」・「職産興業」である。それには和魂洋才という知恵で「IT開化」を実現することである。

こう考えれば、迫ってくるIT革新の波にどう対処するか、といった後ろ向きな姿勢ではなく、夜明け前に千載一遇のチャンス到来と元気になれる。文明開化は、産業革命を起こした様々な新技術を取り入れることも、大きな課題であったろうと推測される。それに比べ現在のIT開化は、ITをどう使いこなすかというだけの話である。重要なことは、何のために何を行うのかということである。明治維新は資本主義を持ち込み、世界に誇る豊かな江戸文化を、物質至上主義・使い捨て文化へと変貌させてしまった。ミレ二アム維新は同じ轍を踏んでも良いのか?いや、それは「心の豊かさ」を実現するためにITを活用すべきである。景気回復や経済的繁栄が目的であるべきではない。ミレ二アム維新が目指す目的は、豊な自然に恵まれた昔の信州を取り戻し、ゆとりある生活をすることである。そこには、今まで存在しなかったバーチャルな社会が出現するので、新しい「ネットワーク文化の創造」が重要である。
(文中敬称略)
(これは2000年8月1日附けの信濃毎日新聞に掲載されたものです))
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唐澤 豊
  • Author:唐澤 豊
  • 還暦を期に長髪から一気に坊主頭にしました。これから20年間、第2の成人を迎えるまではこれでいこうと思います。でもやっぱり冬は寒いし、夏は暑いので、帽子を愛用しています。
    ●情報通信業界の米国系企業を中心に40年間、営業以外の仕事はほとんど経験。技術以外には、マーケティング・ブランディング、組織論、人事評価制度、企業文化なども経験。今まで3つ会社を始めましたが、被買収・売却などの後、4つ目の会社を後任に任せたところで、一昨年、仲間2人ともうひとつ会社を設立し、非言語コミュニケーションのサービスを開発中です。
    ●経営労働管理士。日本躾の会理事。
    ●音楽(ビートルズ、S&G、フォーク、ニューミュージック等)、グラフィックデザイン、水彩画を趣味とするので、マルチメディア技術の活用に大いに期待しています。読書、宇宙の真理探求が最近の趣味。ストレッチ、真向法、西勝造先生の西式健康法を実践中。
    ●故津留晃一さんの著作や講演録(CD)に触れて「人生の目的は体験することである」ということに納得しています。
    ●詳しいプロフィールは「自己紹介」のカテゴリーにあります。
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