唐澤塾
唐澤豊が情報通信技術+経営術+人生術+創造性を中心に一期一会を追求する私塾
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日本の仕事人はソフトウエアに弱い
ビジネスコラム番外編
---CTI Solution Expo 2000を終えて---
先週,幕張メッセで3日間にわたって情報通信分野の展示会「Net&Com21」が開催され,併催された「CTI Solution Expo 2000」にデータメディア社も出展した。会期中,展示会場の通路に立ってカタログ配布をしながら,ブース前を通行する人の行動などを見て感じたことを述べてみたい。
まず第一に,ボードなどのハードウエアを展示しているブースには,どう見ても仕事上の関係が無いだろうと思われる女性や高齢者も含めて,多くの人が立ち寄っていた。コンピュータやネットワークの分野では,ハードがソフトに置き換わるという歴史を繰り返してきたはずである。一見して分かりやすいハードだけでなく,その正体は容易には見えないかもしれないが,ソフトを見る眼というものも重要である。まだまだ日本人は,目に見えるハードには興味を示すがソフトには興味や関心が少ないのか,と感じさせられた。
また,派手な衣装を着た大勢の若いコンパニオンを配置しているブースも来場者が多かったようだ。これは,国内のどの展示会でもそうだが,欧州や米国の展示会では見られないことである。プロの仕事人を相手に説明するのに,いまだに家電製品やゲーム機器を大衆にプロモーションするのと同じようなことをしなければならないのだろうかと残念に思う。
今回の出展にあたり,開催前にはかなりの来場者を勝手に期待していた。世界中の株式市場で,ベンチャー企業の株価がバブルではないかと言われるくらい高騰し注目されている。そんな時期に,インターネット,CTI,Linux,セキュリティ----,といった話題のテーマが一堂に会する展示会である。当然,相当の来場者があるだろうし,プロの仕事人が情報収集に来るのだろうから,名前の知られていないベンチャー企業のブースには大企業より多くの人達が来るだろう,とも考えていた。また,ベンダー各社が製品や戦略を説明するワークショップへの申込者数も,開催2週間前の段階で定員の半分以上に達していたから,満席,あるいはもしかすると立ち見まで出るのではないかと期待していた。初日の朝,ブースの受付担当者には,多くの来場者からのカタログ請求に備えて名刺を頂くか記帳の上でカタログを渡すように指示しておいたほどである。
ところが,フタを開けてみると,初日にカタログ請求された数は非常に少なく,ブース内シアターへの入場者も午前中はとても少なかった。ワークショップも,受講者は事前予約をされた人の約3分の1と当日申し込みが少しあった程度だった。そこで,初日午後以降は方針を変え,通路でカタログを配布することにした。また,シアターへの勧誘もするようにした。これで,どうにかシアターの席は埋まるようにはなったが,会場が離れているワークショップは2日目も3日目も初日と同じような状況のままだった。
実は,日経BP社4誌に同梱送付されたCTI Solution Guideの巻頭記事と,コンピューター・テレフォニー2月号の特集記事を書いたのは私である。そこには,名前とともにデータメディア会長という肩書きも記載されていたので,「CTIやCRMに関心のあるプロの仕事人であれば,少しは読んでくれているかな」と期待もしていたのだが,その期待はどうやら甘かったようだ。
では,ブース前での来場者の行動を大別してみよう。
1. 自分からカタログを受け取りに来る人
2. きちんと一礼をして受け取る人
3. 無表情で受け取る人
4. ひったくるようにして受け取る人
5. 遠くのブースを目指して足早に通り過ぎる人
6. カタログを差し出しても見向きもしない人
7. カタログを一瞥するが受け取らない人
8. 片手を上げて要らないというゼスチャーをする人
受け取り方はどうあれカタログを受け取ってくれる人は,思ったよりずっと少なかった。2日目が終わった時点で,なぜこれほど受け取る人が少ないのだろうとあれこれ考えてみたが,「受け取らない人達の目は節穴なのだ。あの時,われわれのことを知っていればビジネス・パートナになったのにとか,いっしょに仕事ができたのになどと,将来きっと後悔することもあるだろう」と思って自分を慰めるしかなかった。大企業が停滞もしくは崩壊しつつあり,いたる所からリストラの話が聞こえてくるという現在の状況である。そんな時に大企業から革新的なものが出てくるとは考えにくいのではないだろうか。だからこそ,ベンチャー企業が注目され,株価の時価発行総額が大企業を超える例も出てきているのである。ベンダーとしてもパートナーとしても,そして将来の転職先としても,ベンチャーの製品や動向を自分の眼で確かめなくてはこうした展示会に来る意味がないではないか。
結果的には,3日間で3000枚強のカタログを配布したが,どれだけの人が熟読してくれるのか,また問い合わせをしてくれるのだろうかと不安と期待が交錯している。
さて,本題である。「日本人はソフトウエアに弱い」,「これからはコンテンツやサービスの時代」などと言われるようになって久しい。しかし,一朝一夕にはいかないわけで,これからはまず個性や創造性を磨かなければいけない。
創造性という観点からすると,次の5つの分類ができると思う。
A. 他人の創造物は一切参照せず独創する唯我独尊型で変人と見られがちな人
B. 他人の創造物も参照しつつそれらを超えて独創的な人
C. ものまねは非常に上手だが独創はできない人
D. 鑑賞だけで自分では創造しない人
E. 鑑賞すらしない人
個性と創造性を持った人を多く輩出しようということならば,「今までの日本人はC,D,Eのタイプが多かったので,AとBのタイプを育てよう」ということになろうか。しかし,Aのタイプは育てることは困難で,生まれ持った天性のものがあるのなら,その芽を摘まないでそのまま伸ばしてあげることくらいしかできない。
さて,この創造性の観点から,今回のNet&Com21会場での来場者の行動パターンを考えてみよう。上記のAとEのタイプは幕張メッセの会場までは来ないだろうから除外できるだろう。残りのBからDのタイプとその行動を私の勝手な判断で関係付けて見ると,以下のようになるのではないか。
1. 自分からカタログを受け取りに来る人: タイプB
2. きちんと一礼をして受け取る人: タイプB,C
3. 無表情で受け取る人: タイプC,D
4. ひったくるようにして受け取る人: タイプC,D
5. 遠くのブースを目指して足早に通り過ぎる人: タイプC,D
6. カタログを差し出しても見向きもしない人: タイプD
7. カタログを一瞥するが受け取らない人: タイプD
8. 片手を上げて要りませんというゼスチャーをする人:タイプB,C,D
タイプBを目指すためには,あらゆることに好奇心を持って積極的・能動的になる必要があるだろう。そうでなければ,将来を見る眼は身につかない。私は,こうしたことも広い意味ではソフトウエアに分類できると考えている。「日本人は」と十把ひとからげにしては各界の優秀でクリエーティブな方々に申し訳ないので,情報産業に携わる仕事人(男性も女性も)ということにするが,やはり日本人はまだまだソフトウエア,ソフトウエア的なアプローチに弱いと言わざるを得ないのではないか。これから奮起して,旺盛な好奇心を持って個性と創造性を磨いて欲しいと思っている。
以上は、日経BP社のBizITサイトの“ビジネスコラム番外編”として2/7/00に寄稿したものです。
あれから数年経って、少しは変わったでしょうか?
唐澤豊@唐澤塾
http://sohmokutoh.blog9.fc2.com/
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【2006/01/10 23:22】
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PROFILE
Author:唐澤 豊
還暦を期に長髪から一気に坊主頭にしました。これから20年間、第2の成人を迎えるまではこれでいこうと思います。でもやっぱり冬は寒いし、夏は暑いので、帽子を愛用しています。
●情報通信業界の米国系企業を中心に40年間、営業以外の仕事はほとんど経験。技術以外には、マーケティング・ブランディング、組織論、人事評価制度、企業文化なども経験。今まで3つ会社を始めましたが、被買収・売却などの後、4つ目の会社を後任に任せたところで、一昨年、仲間2人ともうひとつ会社を設立し、非言語コミュニケーションのサービスを開発中です。
●経営労働管理士。日本躾の会理事。
●音楽(ビートルズ、S&G、フォーク、ニューミュージック等)、グラフィックデザイン、水彩画を趣味とするので、マルチメディア技術の活用に大いに期待しています。読書、宇宙の真理探求が最近の趣味。ストレッチ、真向法、西勝造先生の西式健康法を実践中。
●故
津留晃一さん
の著作や講演録(CD)に触れて「人生の目的は体験することである」ということに納得しています。
●詳しいプロフィールは「自己紹介」のカテゴリーにあります。
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