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唐澤塾
唐澤豊が情報通信技術+経営術+人生術+創造性を中心に一期一会を追求する私塾
EC時代のCRMとコンタクトセンター---その4
---EC時代のビジネス・モデル論---
インテルのアンディー・グローブ会長は数年前に「フリーMIPS&フリーBAUD」すなわち「コンピューターが百万命令を処理する能力と、1ビット当りの通信費は殆どタダ同然になった」と言って、メーカーとしては、より多くのCPUを使って貰うために「これからはこうした能力を使いこなすアプリケーションが必要だ」と言った訳だが、皮肉にも、インターネットの普及の結果から、無料パソコンを出現させた。当然ハードウェア部品の価格に対する値下げ圧力は大きなものであろう。更に、インターネットの世界では、無料のポータル・サイトが出現し、無料Webサイトも始まり、無料プロバイダーまで出て来た。またLinuxという無料OSも出現し、ソフトウェアやメールマガジンも無料ということで、コンテンツまでも無料という方向に向かっているようにも見える。ではハードウェアやソフトウェアを開発・製造・販売して来た企業や著作・創作活動で生計を立てて来たクリエーターの人達はどうやってこれから稼げばよいのだということになる。一方では著作権保護の長期化やビジネス・モデル特許の容認などの反対の動きもある。
無料コンテンツに対するひとつの考え方は、一次著作物に対する報酬は妥当なものが支払われれば、印税のようなものは必要ないというものである。一曲ヒットソングが出れば一生食っていけるというのは、真面目に働く人にとっては不公平という考えであろうか。また無料ビジネスに対する考え方としては、それを利用する人達に様々なカスタム化したサービスを提供することにより収入を得るというものである。これらのビジネス・モデルが受け入れられ、定着するかどうかは今のところ何とも言えないが、それを普及させようとしている学者グループがいるので、着々と進んでいるようにも見える。
こうした無料ビジネスの仕組みの殆どは、広告収入を頼みの綱としているが、そのビジネス・モデルはラジオに始まり、テレビで花開いた地上波民間放送を基にしており、長い年月を経て成熟したモデルとなっているから、ECのような新規ビジネスにも適用がし易いのであろう。8年程前に、マルチメディアの国際会議のひとつでビバリーヒルズの映画製作者達を中心とした「デジタル・ワールド」というのに出席したことがあった。当時はCD-ROMにマルチメディア・コンテンツを入れて売ろうとしていたが、出席者の中に「普及させるためには民放テレビのように無料にしなければ駄目だ」という意見が出て、開発ツールも素材の音楽や映像も高価な時代であったから物議を醸した。それに目障りなCMなどが入って来ると、教育用など本来の制作意図を損なう可能性もあるとの意見が多数であって、誰も無料化に向かうとは思っていなかった。その後結局CD-ROMベースのものは、雑誌の付録として配布されるようなことになり、これだけが原因ではなかっただろうが、無料化を積極的に目指さなかった制作者側はビジネスとしては期待されるような結果にはならなかった訳である。
もうひとつのビジネス・モデルとしては、通信事業者が通信料収入の一部を代理店などに還元したり、自社の長期償却費に当てたりするものがある。具体例としては携帯電話の契約販売で急激に伸びた光通信の例は周知のことであろう。ISDNの加入契約や新電電各社の長距離・国際電話加入契約に対しても同様の還元がある。これらのモデルの基となるのは、英語では「レザー&ブレード・モデル」と呼ばれるが、剃刀と刃の関係のように、あるメーカーの剃刀を買うと、毎日消費する刃もそのメーカーのものを買わざるを得なくなり、長期的に見ると、刃の購入額の方がずっと高いので、剃刀は無料で配布してもよい、ということである。毎月払う通信料金の数ヶ月分から数年分で、端末である電話機・携帯電話機・パソコンなどのコストは元が取れるということである。
またiModeの有料サービスのように、月額100円から300円という小額の料金徴収をNTTDoCoMoが代行することにより、成立している料金徴収のビジネス・モデルというものもある。
これらのモデルはフランステレコムがミニテルというビデオテックスを普及させるに当り、25年程前に創り出したモデルとのことである。フランスでは、ミニテルというECシステムでの売上がインターネットでの売上を上回っているという。またミニテルは農村部などを中心としたブルーカラー層で広く使われ、インターネットはホワイトカラー層に普及しているということで、システムこそ違え、フランスは世界で一番ECに慣れ親しんでいる人が多いということになる。
これからのECはパソコンを中心としたものではなく、モバイル端末と居間のテレビが中心になるだろう、との見方が活発になっている。モバイルに関しては私も実感しているので意義はないが、テレビについては根本的な無料放送のビジネス・モデルが成り立つかどうかが問題であると思われる。
一昨年の日本に於ける広告業界の規模は5.8兆円で、それに関連する放送業界が2.6兆円、新聞業界が1.3兆円、出版業界が2.6兆円であるから、これらの業界の売上の大半は広告収入であると言えよう。
宣伝・広告費は一般的に売上の3%〜5%を投入するのが適切と言われている。そうしてみると、多い方の5%としても各種業界の売上総額が116兆円は必要であるということになる。今まで、広告費とコンテンツの無料化の原資は、移動体通信料金が約4兆円、固定電話料金が約5兆円、パソコン業界の2兆円、半導体業界の4兆円、家電業界の2兆円、通信機器業界の5.5兆円、産業電子機器業界の12兆円などが主なものであると思われる。これらの製造業や、食品、服飾、各種サービス業などから出ていた広告費は、長引く不況により、減少傾向にある。それに対して、IT関連企業はベンチャーまでもがテレビCMを流す程に上場利益を使って一気に認知度を上げようとしている。
そうした中で、昨年のインターネット関連への広告費の総額は、約198億円と推定されており、一昨年の約90億円に対しては2倍以上の伸びであるが、全体のまだ0.3%程度である。インターネット人口が10%を超えたということで、単純に考えれば、6000億円程度まで伸びても不思議はない訳である。しかしこれらの原資となるものがなければ、ネット広告収入は伸びない。
従来の民間放送は、スポンサーからの広告収入と放送経費が、丁度良いところでバランスしていたと思われるが、高画質のデジタル衛星放送やデジタル地上波放送に必要とする設備投資を回収するだけの高額なCM料金は取れないはずだ。日米共に、200X年から全面的にデジタル放送に移行しようという計画のようであるが、採算性の見通しはあるのであろうか?
今や、インターネット、ゲーム機、携帯電話など、広告媒体が増えた上に、高画質放送のために、設備投資と制作コストも増加となると、広告・放送業界は、スポンサー側と媒体側と、どこでどうバランスを取るビジネス・モデルを成立させるかが民放生き残りのカギとなるはずであるが、今それは明確ではないように思う。だからこそ放送だけではなく、ECも取り込まないといけないのかも知れない。テレビ受像機メーカーは殆どは16:9の横長型のみの製造・販売となって、利用者側に選択の余地を与えないような横暴を極めているが、デジタル放送のビジネス・モデルが出来なかった時はどう責任を取るつもりなのだろうか?
いずれにしても宣伝・広告の原資としては、元気の良いIT業界と通信業界から引き出すだけではなく、流通・小売・金融業界も負担するような算段をしなくてはならないだろうが、生活者の可処分所得というパイが増えないことには、どうしようと追加投資分は負担しようがないことを肝に命じて、新しいビジネス・モデルを考え出す必要がある。それは、何かを追加したら、何かを捨てるということしか、これからの低成長時代には無いような気がする。
以上は、日経BP社のBizITサイトに“Business Column-22”として3/13/00に寄稿したものです。ですから、金額や広告メディアの比率、業界の規模などは、インターネットと移動体通信が大きく伸びた点が6年前と今とでは大きく変わったことでしょう。
唐澤豊@唐澤塾
http://sohmokutoh.blog9.fc2.com/
http://www.irisa.com/jp/
【2006/01/19 23:51】
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印税ビジネス
前回まで、あなたがラーメン店を経営してお金持ちになる方法を考えてみました。?リアル店舗を拡大していくことは、結局大勢の人を巻き込んでいくリスクがあります。 資金面もうまく回していかないと拡大していきません。?あなたが現在サラリーマンだとして、今からこ わがままな独立起業をめざすブログ【2006/01/20 10:34】
PROFILE
Author:唐澤 豊
還暦を期に長髪から一気に坊主頭にしました。これから20年間、第2の成人を迎えるまではこれでいこうと思います。でもやっぱり冬は寒いし、夏は暑いので、帽子を愛用しています。
●情報通信業界の米国系企業を中心に40年間、営業以外の仕事はほとんど経験。技術以外には、マーケティング・ブランディング、組織論、人事評価制度、企業文化なども経験。今まで3つ会社を始めましたが、被買収・売却などの後、現在は4度目の会社で、南仏に本社があるマルチメディア通信用ミドルウェアのデータメディア社の日本法人でボイス・クラウドへの普及を目指しています。
●経営労働管理士。日本躾の会評議員。
●音楽(ビートルズ、S&G、フォーク、ニューミュージック等)、グラフィックデザイン、水彩画を趣味とするので、マルチメディア技術の活用に大いに期待しています。読書、宇宙の真理探求が最近の趣味。ストレッチ、真向法、西勝造先生の西式健康法を実践中。
●故
津留晃一さん
の著作や講演録(CD)に触れて「人生の目的は体験することである」ということに納得しています。
●詳しいプロフィールは「自己紹介」のカテゴリーにあります。
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