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EC時代のCRMとコンタクトセンター---その7
---お客様相談室成功例と音声応答装置の是非---

先日、あるマーケティングの研究会で、大手化粧品会社のお客様センター担当の方から、お話を聞く機会に恵まれた。以前私は「これからはコールセンターをビジネスの中心に据えてお客様中心のビジネスに変えて行かなければ企業は生き残れない」ということを、色々な場で述べて来た。しかしなかなかそこまで実現している企業の例をこれまで一度も聞いたことはなかった。この企業はそれを1年くらいで実現したということなのである。

きっかけは役員のひとりが、いわゆる「お客様相談室」に寄せられる情報をもっと有効に活用しないと、お客様第一主義の時代に立ち遅れるのではないか?という危機感から、担当マネージャーに持ち掛けたところ、そのためには大幅な組織改革も必要になるので、そこまでは無理という消極的な返事だったそうだ。そこでこの役員は積極的な若手に持ちかけ、上司に相談せず企画書を作らせ、いきなり部門会議で発表させ、役員会に提案して、この若手をプロジェクト・リーダーにして推進したということだ。

お客様センターに寄せられるお客様からのあらゆる声である電話、電子メール、ファックス、郵便、販売員やショップ経由などを全部データベースに蓄積し、古いシステムからの過去の情報も移植することにした。そして試行錯誤の上に、短時間で検索が可能なように、詳細な分類方法を考案した。そして全ての社員が検索して活用できるようにしようとした。そのためには、各部署の協力が必要である。また、それを活用するということは、研究所や経営企画部門の一部機能を取り込むとか、商品開発部門のあらゆる会議に出て、お客様の声を反映させるとか、評価試験などにも参加し、お客様センターが合意しなければ発売しない、といった品質保証部門的なことも必要になる。しかし、こうしたことは、それぞれの部門長や担当者は相当嫌がることであるから、担当役員から個別に説得する、といった苦労の末、実現したという。

今では、各部署がこれらの情報を活用し、お客様センターのスタッフに会議参加の誘いも多く、毎月の部門長会議でもトップバッターで報告をしているとのことであった。最も顕著な成果は、新製品発売前に多くの問題を発見出来るので、品質や顧客満足度を上げることが出来ているということだ。

また、このシステムをあらゆる社員が活用するようにするには、やはりトップダウンが効果的であったようだ。まず社長専用にある程度分類された情報を、大きな文字で表示するシステムを特別に用意した。そして社長がこの情報を毎日見て、他の担当役員が知らないことをどんどん指摘するようになると、他の役員も毎日見ていないといけなくなり、その下の部門担当マネージャーや現場のマネージャーも見ていないと、何を指摘されるかわからなくなる、ということで、短期間の内に、全社的に使われるようになったという。

何とも絵に描いたような成功例である。以前居た会社で、成功するプロジェクトの条件というものを各部署から集まって分析したことがあるが、その結果はこの話に良く似ていた。即ち、1)強力に支援してくれる役員がいる、2)熱狂的なリーダーがいる、の2点であって、アイディアが良いとか、技術が良い、製品が良いといったことでは無かった。社内改革を目指す方は参考にされたい。

さて、この会社のシステム説明の中でひとつ気になったコメントがあった。それは、お客様からの電話をまず音声応答装置を使って、商品別の担当に振り分ける、ということを検討したが、お怒りのお客様に、長々と音声を流し、自分がコンタクトしたい部署とその番号を聞き取り、プッシュ・ボタンを押して貰うのは無理ではないかとの結論になり、まずは一次オペレーターが用件を伺い、担当者に転送することにした、ということだ。同じような話で、音声応答装置でまず選別するのはお客様に失礼、という意見を日本ではよく聞くのである。発信者番号が使えればお客様別に担当者へ振り分けることができる。また、登録されている既存のお客様であればID番号を入力して貰い、担当者に振り分けが出来る。あるいは、高度の音声認識が可能になれば、用件によって振り分けることが出来るだろうが、それにはまだ少し時間が掛かりそうだ。

コールセンターの運営上からすると、音声応答装置を使うことで、かなりの省力化が可能になることは判っているので、固定客には使って貰うことでより的確な対応が出来ることを、一度体験して貰えば、導入されるであろう。しかし、初めてのお客様の場合が問題である。これはやはり、発信者番号を使い、過去に電話されたかどうかを確認して、無ければ初めて、と判断してオペレーターに繋ぐ、といったことが必要である。ところが日本では、フリーダイアルでも発信者番号通知の拒否である“184”が使えるようになっている。これはNTTが利用者の意見を事前に聞いた結果の判断とのことであるが、米国では、フリーダイアルは受信者側が料金を払うのであるから、発信者番号は通知されて当たり前、との考え方である。この方が論理的であると私は思う。いたずら電話でも受信側が料金を払わなくてはならないのは理不尽である。非通知にしたい人は有料の番号に掛ければよいわけである。いたずら電話をして来たら、その番号を登録しておけば、次回からは音声応答で処理するなり、相手の声をループバックするなどで対処出来る。

この場を借りて、NTTさんにお願いしたいのは、フリーダイアルの発信者番号は自動的に通知するように早く変更して貰いたいということである。それが日本のコールセンター市場拡大と効率化には不可欠であると思う。

以上は、日経BP社のBizITサイトに“Business Column-25”として 4/24/00に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
http://sohmokutoh.blog9.fc2.com/
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PROFILE
唐澤 豊
  • Author:唐澤 豊
  • 還暦を期に長髪から一気に坊主頭にしました。これから20年間、第2の成人を迎えるまではこれでいこうと思います。でもやっぱり冬は寒いし、夏は暑いので、帽子を愛用しています。
    ●情報通信業界の米国系企業を中心に40年間、営業以外の仕事はほとんど経験。技術以外には、マーケティング・ブランディング、組織論、人事評価制度、企業文化なども経験。今まで3つ会社を始めましたが、被買収・売却などの後、4つ目の会社を後任に任せたところで、一昨年、仲間2人ともうひとつ会社を設立し、非言語コミュニケーションのサービスを開発中です。
    ●経営労働管理士。日本躾の会理事。
    ●音楽(ビートルズ、S&G、フォーク、ニューミュージック等)、グラフィックデザイン、水彩画を趣味とするので、マルチメディア技術の活用に大いに期待しています。読書、宇宙の真理探求が最近の趣味。ストレッチ、真向法、西勝造先生の西式健康法を実践中。
    ●故津留晃一さんの著作や講演録(CD)に触れて「人生の目的は体験することである」ということに納得しています。
    ●詳しいプロフィールは「自己紹介」のカテゴリーにあります。
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