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EC時代のCRMとコンタクトセンター---その16
---フォーチュン1000社のCEO/CIOの判断基準---

G・ピーターセン著、「CRM入門」(東洋経済新報社)によると、米国フォーチュン誌が選んだベスト1000社のCEO/CIOに、ソフトウェア技術の導入を判断する際に重視する項目は何か?という調査を米国IBM社が実施した結果、以下の5項目が優先度順に挙げられたという。

1. 企業に莫大な影響を与え、企業にとって決定的な意味を持つ「ミッション・クリティカル」な戦略的課題の解決を促すソフトウェアでなくてはいけない。
2. システムは企業の目標と一致し、今後の経営指針と整合する必要がある。
3. システムは企業のコンピューター環境と調和しなくてはいけない。
4. システムは組織にスムーズに導入されなくてはいけない。購入しやすい価格で、構築しやすく、多のシステムと互換性がなくてはいけない。
5. システムの保守費は低水準に保たれなくてはいけない。

そこで、これらをもう少し詳しく検討してみよう。まず1番目の項目であるが、これについては、今までコンサルタントやSI企業などに勧められて、古くはMIS,SISからDBMSそしてBPRブームでSCM、ERP、SFAなど様々なITツールを導入して来たのであろうが、それらは結果的に見ると、必ずしもクリティカルなもの、決定的な意味を持つものではなかった、ということが背景にはあるのかも知れないと穿って見てしまう。現にそういった声を漏れ聞くこともある。重要なことはツールの導入以前にBPRをきちんとやっているか、ということである。SCMなどは、それが一番顕著に出るものであろう。パートナー企業との間で、信頼関係が構築され、無駄を省いたサプライ・チェーンのプロセスを十分吟味して合意されていないと、現状プロセスを単にツールの導入で早く・間違いなく処理するだけでは、もしかすると結果的に在庫の山を作る、とか欠品が生じるなどといった現状の問題点を更に大きくするようなことにもなりかねないだろう。
 
CRMを実現する上でもまずツールの選択ではなくて、2番目の企業目標と経営指針と整合するかを検討しなければならない。そのためには、お客様との良い関係を築き、維持するための目標であり経営方針はどういうことか、を考えなければならない。「お客様からのクレームは全て正しい」と考えて、それらを設計・製造・販売にフィードバックする必要があろう。実は私の使っている某メーカーのノートパソコンは周囲温度が上がると動かなくなってしまうことがあるのだが、クレームをつけると「他にそういったクレームはありません」ということではあったが、一応修理で本体を取り替えてくれた。しかし発生頻度が少なくなっただけで、同じ問題は未だに起きている。最初に買った本体の原因究明を依頼し、確認すると「問題は再現できない」と言う。メーカーや販売店の対応はあたかも「お客様が間違っているかも知れない」と疑うところから出発している感じである。私はCPUやコンピューター・システムも設計したことがあるプロであるから、原因の予測はだいたい付いていることを彼らは知らないのだ。このメーカーは三菱自動車、雪印、ファイアーストーンなどが起こしているような問題をこれから起こしかねないと危惧している。

以前にも紹介したが、某化粧品メーカーでは、お客様センターのスタッフは全ての研究・開発・企画・製造などの会議に出ることが許され、過去のクレームが生かされるように、組織も権限も変えたということである。ここまでやって初めて本当のCRMの達成と言える。コンタクトセンターを構築し、ツールを導入するだけでは、本当に解決したことにはならない。お客様中心ということは、全ての企業活動をお客様からのクレームや要望を中心に考えられるようにコンタクトセンターを活動の中心に据えるということである。

しかし、そのために大規模な投資を必要とするようであれば、今の状況からすると、なかなか実現は困難である。だから3番目にあるように、現在のコンピューター・システムをそのまま活用して統合できなければならない。そして4番目の項目のように、リーズナブルなコストで、スムーズに導入でき、既存システムと互換性があるツールでなければならないわけである。また当然ながら5番目の項目にあるように、保守費用は直接の費用だけでなく、関連する全てを含めて低くなるものでなければならない。3から5は誰でも考えればわかることである。私は、最も重要なことはまず2番目の企業目標と経営指針そのものを徹底的に議論し明確にして、それを全社一丸となって実現できるようにすることであると思う。

以上は、日経BP社のITProサイトに“Business Column-34”として9/11/00に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
http://sohmokutoh.blog9.fc2.com/
http://www.irisa.com/jp/
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唐澤 豊
  • Author:唐澤 豊
  • 還暦を期に長髪から一気に坊主頭にしました。これから20年間、第2の成人を迎えるまではこれでいこうと思います。でもやっぱり冬は寒いし、夏は暑いので、帽子を愛用しています。
    ●情報通信業界の米国系企業を中心に40年間、営業以外の仕事はほとんど経験。技術以外には、マーケティング・ブランディング、組織論、人事評価制度、企業文化なども経験。今まで3つ会社を始めましたが、被買収・売却などの後、4つ目の会社を後任に任せたところで、一昨年、仲間2人ともうひとつ会社を設立し、非言語コミュニケーションのサービスを開発中です。
    ●経営労働管理士。日本躾の会理事。
    ●音楽(ビートルズ、S&G、フォーク、ニューミュージック等)、グラフィックデザイン、水彩画を趣味とするので、マルチメディア技術の活用に大いに期待しています。読書、宇宙の真理探求が最近の趣味。ストレッチ、真向法、西勝造先生の西式健康法を実践中。
    ●故津留晃一さんの著作や講演録(CD)に触れて「人生の目的は体験することである」ということに納得しています。
    ●詳しいプロフィールは「自己紹介」のカテゴリーにあります。
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