唐澤塾
唐澤豊が情報通信技術+経営術+人生術+創造性を中心に一期一会を追求する私塾
EC時代のCRMとコンタクトセンター:---その23
---最終回:2千年紀の残した課題---

もうすぐ20世紀が終わろうとしている。今世紀を振り返って、といった話題が多いが、私は過去2千年を振り返ってみたい。正確かどうかはわからないが、きょうはキリスト生誕から丁度2千年が過ぎたということになる。20世紀の今日、諸問題の発端を考えると、結局キリスト教が世界に広まり、その教義が社会の背景に大きく影響を与えたと言っても異論はないだろう。世界の文明化とは、すなわちキリスト教的思想の生活様式を取り入れるという方向で進んで来たと言えよう。

さて、その結果として今日の米国を中心とする自由競争を是とする資本主義経済が世界を圧倒し、最後の10年にはインターネットが開花したことにより、英語の世界公用語化が更に進んだ。IT革新の中心はやはり米国であり、ドッグイヤーと言われるようなスピードで次々と新しい技術とビジネスモデルを開発して知的財産権を握って行こうという戦略のようである。しかし米国の国民は皆豊かで幸せなのかというと、儲かっていたのは企業だけである。貯蓄率がマイナスの国であり、個人間の貧富の差は開く一方である。デジタルデバイドという新しい問題も新たに出ている。ホームレスは増えつづけ、銃犯罪・麻薬の浸透などもあって、決して安心して住める安全な国ではない。米国民が皆豊かで幸せであるとは言い難い状況である。しかしその国をモデルとして世界中のあらゆる国々がその生活様式を追いかけていると言っても過言ではないだろう。日本などその典型であり、過去50年程で、大きく近づいたと誰もが感じているだろう。このまま追いかけ続けて良いのかという議論が、ようやく少しづつではあるが出て来ているから、日本もまんざら捨てたものではない。

米国の諸問題を起こしている根本的な問題は何だろうか?私はその原因は2つあると考えている。その2つとは、1)宗教と科学の分離、2)進化論、であると思う。

科学は、誰がやっても再現することが条件とされており、再現されないものは非科学的と断じて葬り去られてしまう。しかし、この宇宙の仕組みは、あらゆる事象が本当に何度でも再現されるかどうかは、不明であるという方が正しいだろう。だからまだ科学で解明されていることは、氷山の一角にも至らないくらいのことしかないとも言われており、それは正しいと私は思う。ここに来てDNAの解明なども進んだが、人類はまだ新しいタンパク質を作り出せるわけではない。景気も再現性がないから科学されていない。「気」という文字が付く言葉は、人間の心、気の持ちようである「気持」に深く関係しているものが多いように思うがこれらは皆、科学の対象から外されて来た。それで良かったのだろうか?

一方、宗教の教祖は大抵の場合、他の人々よりも何か違うことが出来たので、それを超能力といったことで崇められたようなことが多いのではないかと思う。ほとんどの宗教が間違った道を辿ることになったのは、その弟子達には超能力があるわけでもないので、教祖の言動を正しく後世に伝えることができなかったためであると考える。しかし、最近の新興宗教と言うか、精神世界論者と言うような人達の多くが異句同様に言うことがある。それは、1)宇宙はひとつ、2)神は偏在する、という2つのことである。宇宙がひとつであるとすると、宗教も科学も分離して考えることは出来ないということである。

宗教と科学の分離から派生して、何でも分離・分類するという志向が生まれ、人間の豊かさも、心の豊かさを切り離し、経済的豊かさだけに重点が置かれるような時世になってしまったように思える。政治が宗教と分離されるべきというのが日本の現状では常識となっているが、他の国々では、1人の人間の中で政治と宗教を分離することはできない、と考えられている方が多いように思う。それどころか、宗教の違いが国境を決めているので、紛争が続いているとも言えよう。政治・宗教・経済・科学・芸術などは分離して考えることができない、というのが本来の姿なのではないだろうか。私のバックグランドは技術者であるが、最近は思考・精神・心・気持・霊魂といった今までの科学では究明されていないことを、21世紀は考えて行かなければならないのではないかと思う。アインシュタインなど、その道を極めた科学者達も晩年はこうしたところに踏み込んでいる例も多く、そこに多くの秘密の鍵があるように感じる。

さて、進化論は優れたものが自然淘汰で生き残る、それが種の進化あるいは進歩だということである。それから派生して自由競争の結果でも優れたものが生き残るのだという、競争ありきの自由主義経済を支える理論となっているように思う。競争は進歩・発展・進化・成長には必要であり、それらは全て人類のためには良いことだという考え方が現代の常識となっている。自然淘汰という考え方は間違っていないと思われるが、優れたもの、必要なものが生き残り、それが進化で後世になるに従って進んでいる、優れているという考え方が、正しいかどうかは疑問である。たまたまその自然環境に合ったものが生き残っただけであって、それは「進化」ではなく「変化」しただけではないか。

話をテーマの本論に移そう。ECの場合も、最初は分離・独立したバーチャルな世界だけで成り立ち、大きなビジネスに成長すると思われていたが、ここに来て「クリック&モルタル」ということで、従来型のリアルビジネスと並行して行かなければならない、という風潮になって来た。それは前述した分離と進化を是とする考え方が間違っているという私の考えからすると当然のことである。CRMという言葉は「顧客との関係を管理する」というので私は好きではないが、それはそれとして、ひとつのマーケティング手法として考えていたら、全社的な取り組みにはならないだろう。常にお客様の立場、使う人の立場で考えるということをあらゆる社員が実行することが真のCRMである。顧客データを分析・分類して管理したり、マーケティング戦術を考えるだけでは、個性豊な顧客が望んでいるものを提供することにはならないだろう。また私の仕事は○○だから直接CRMには関係ない、と思っているようでは、掛け声だけに終わってしまうだろう。

コンタクトセンターもしかりである。CRMを実現するためのコンタクトセンターとするならば、それが会社の中心として位置付けられていなければ機能しない。また、対面応対まで含めたお客様とのあらゆる通信手段を統合した仕組みでなければならないだろう。研究開発から始まり、製造、営業まで全ての部署がコンタクトセンターを通してお客様の声を聞き反映させるということができる企業は生き残るだろう。そうでなければ、20世紀に拡大し過ぎた経済活動は、調整に向かうので、21世紀はデフレの時代になり、お客様の心を掴むことが出来ない企業はやがて消えてしまうだろう。既にこうしたことを見事に実現して成功している企業が日本にもあることは、以前本コラムで述べた通りである。

21世紀は過去の分離・分類・競争・進化・拡大という考え方を捨て、融合・統合・協調・変化・調和ということに解決の道を求めなければならないだろう。

以上は、日経BP社のITProサイトのCRM&ERPコーナーに“Business Column-41”として12/25/00に寄稿したものです。

唐澤豊@唐澤塾
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唐澤 豊
  • Author:唐澤 豊
  • 還暦を期に長髪から一気に坊主頭にしました。これから20年間、第2の成人を迎えるまではこれでいこうと思います。でもやっぱり冬は寒いし、夏は暑いので、帽子を愛用しています。
    ●情報通信業界の米国系企業を中心に40年間、営業以外の仕事はほとんど経験。技術以外には、マーケティング・ブランディング、組織論、人事評価制度、企業文化なども経験。今まで3つ会社を始めましたが、被買収・売却などの後、4つ目の会社を後任に任せたところで、一昨年、仲間2人ともうひとつ会社を設立し、非言語コミュニケーションのサービスを開発中です。
    ●経営労働管理士。日本躾の会理事。
    ●音楽(ビートルズ、S&G、フォーク、ニューミュージック等)、グラフィックデザイン、水彩画を趣味とするので、マルチメディア技術の活用に大いに期待しています。読書、宇宙の真理探求が最近の趣味。ストレッチ、真向法、西勝造先生の西式健康法を実践中。
    ●故津留晃一さんの著作や講演録(CD)に触れて「人生の目的は体験することである」ということに納得しています。
    ●詳しいプロフィールは「自己紹介」のカテゴリーにあります。
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