唐澤塾
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参院選の結果が今後の経済状況に与える影響は?---村上龍氏のメルマガより
村上龍氏のメルマガJMMに『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』という企画が毎週月曜日にあり、先週号では「参院選の結果が今後の経済状況に与える影響は?」という質問に、専門家たちが答えていた。

その中で、文章も回答もなかなかユニークなものだあったので、少し抜粋して紹介したい。

Q:823
参議院選の与党大敗北、民主党の大躍進は、今後の経済状況にどのような影響を与
えるのでしょうか。

■ 三ツ谷誠  :三菱UFJ証券 IRアドバイザリー部長

「田中派を継承するもの ~最強の国民国家の黄昏」


この冒頭では、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールに出張して感じることは、ロンドンの活況は今まで感じていたが、最近行ったシンガポールも、東京以上の活気を感じた、ということを述べている。

彼は今まで、東京圏こそが20世紀後半、資本主義の成熟を最も体現した最高の巨大都市だろうと思っていたが、グローバル化した経済の時代において最強の国民国家であることが、今後も引き続いて繁栄の条件になるかどうかは分からない、という感慨に浸っていると述べている。

そして、他の都市に比べ、東京は圧倒的に外国人の姿が少ないが、それはやはりグローバル化の一つの指標ではないか、東京は世界の他都市に比べて明らかに劣後している。それが事実だ、ときっぱり言い切っている。

それからやっと本題に入るが「田中派が何であったのか、というのは面白いテーマだろうと思う」ということで、以下のような仮説から入って小泉・竹中>安倍そして今回の参議院選挙は田中派的なものの復活と論じている。途中を割愛すると、意味が通らなくなりそうなので、そのまま転載する。来月半ばには、JMMサイトに全文が掲載されているはずだ。

*************以下転載**************
あくまで検証のない一つの仮説として、ではありますが、労農派的な社会主義者たちが、教条的な共産主義、社会主義よりも浪漫派的な感受性を軸に、自由民主党という鵺のような集団に紛れ、革新官僚の流れを汲む霞ヶ関と共闘し、巨大な権力・勢力を築き上げた「流れ」それが田中派であった、と考えてみるのも面白いと思います。

実際、竹下や野中のように、戦後、地方の社会主義的な集団に一時属した経歴を持つ田中派の構成員は多いと記憶していますし、田中は新潟、竹下は島根、野中は京都、と言っても明智光秀にゆかりの亀山のあたりの出身で、小沢もまた岩手の産と、地方を代弁する勢力として田中派は存在したと考えられます(現在、派閥の代表となっているのがあの太宰・津軽の津島であることも本当に面白い処です)。

そしてその機能は独占資本が生み出す富を、一度国庫に吸収し、それを特に土建的な構造で地方に還流させること、同時に交通網を張り巡らすことで、地方に中核都市を育成し、均衡ある国土発展を設計すること、であったと総括してもいいかも知れません。

その意味では独占資本と浪漫派的な社会主義的国士(田中派)とは、革新官僚(国家主義者たち)を媒介に幸せな共生関係にあったのです(もともと士族的な精神を受け継いだ財閥系企業の経営者にもまた国家主義者の相貌があったのは明白です)。それは永田町-霞ヶ関-丸の内・大手町の鉄の三角形だったと言えるでしょう。丸の内・大手町にしてみても経済の成長を促すものは何より健全な中産階級の育成・存在であるという国民国家モデルからすれば、結局はこの三角形の恩恵を受けたと考えることが可能でしょう。

その共生関係の中で我が国はGDP世界2位の巨大な経済大国、最強の国民国家としてその繁栄を謳歌し、阿久悠作詞の歌謡曲に代表される華麗な(或いは爛熟した)昭和文化を生んだ、と後世の歴史では語られているかも知れません。

しかし、時の過ぎ行くままに時は過ぎ行き、冷戦構造の崩壊以後、加速化するグローバル化の流れと国民国家のコンセプトは両立せず、ドイツやフランスはEUの創設でその環境変化に対し、一方ではグローバル化できた地域のみにそれ以後の繁栄がもたらされている、のが世界の現実であると感じます。欧州の相対的な好調はEUというグローバル化が正しい選択であったことの証左だと感じます。

一方で、小泉-竹中改革が目指したものは、徹底的なグローバル化への追随であり、グローバル化によって都市部が恩恵を受けることで、逆に交通網で都市に繋がった地方から更に都市部に人口が移り、都市が自生的にその領域を広げることで、次の世紀の豊かさを確保しようという動きだったと思われます。

となれば法律でコントロールの効かない経済に呑み込まれる以上、法律を軸に経済を設計する国家官僚の存在は邪魔になる訳で、小泉-竹中改革を受け継ぎ公務員改革に邁進した安倍政権の志向は無理なく理解できる処です(小泉が自民党をぶっ壊すと叫んだのは、鉄の三角形において丸の内・大手町がグローバル化経済に寧ろ適応しようと蠢く中で、独占資本の利潤を地方に還元する装置としての田中派的自民党の解体を目論んだということであり、その目的は十分に果たされたと思います)。

小沢は小泉と基本的には同様のスタンスの政治家であった筈で、彼もまた田中派にいながら結局自民党を飛び出したように田中派の批判的継承者だったのですが、今回の選挙ではそのような批判的視点はかなぐり捨てて先祖帰りをし、民主党という器でまさに田中派的な政策を打ち出し、選挙活動でもまた見事に田中派的なものを再現して見せました。

という意味では今回の選挙では、民主党が小沢のもとで、独占資本の利潤を地方(或いは社会的弱者)に還元する国家機構の再構築を標榜する政治的勢力として政党の性格を明確化した、と言える訳で(勿論、実際には更に自民党を巻き込んだ整理が必要でしょうが)、近視眼的な視点で株価のボラティリティが高くなること、下方への圧力が働くこと、の経済に与える影響を論ずるより、田中派的なものの復活が日本経済に与える影響をこそ問題視すべきだと感じます。勿論、株価はあらゆる現象を映しこむ鏡であり、グローバル化できない日本を売る圧力が今後高まっていくでしょう。

時の過ぎ行くままに、最強の国民国家だった日本の黄昏にこの身を委ね、都会も地方も漂いながら、落ちていくのも幸せだよと、歌ってみるのもいいかも知れません。

三菱UFJ証券 IRアドバイザリー部長:三ツ谷誠
**************以上転載**************


どうだろうか?なかなか面白い意見ではないだろうか?
だが、彼は民主党の勝利はグローバル化を妨げると考えているようだ。しかし、安倍内閣がグローバル化を推進しているとは私には思えない。彼らはナショナリズムに凝り固まっていると見える。

一方、民主党も国民新党の申し入れを受けて、郵政民営化凍結法案を参議院に提出しようとしているのは、解散・総選挙に追い込むための戦略なのか、本心なのか、まだ解らないと思うが、日本の経済界が影響を受けるのは避けられないだろう。そうなると、国際経済からは日本のグローバル化が遅れる、という失望感が出ることになるのだろう。

時事評論家で国際金融スペシャリストの増田俊男氏は10月からは未曾有の円高・株高の好景気になると言っているが、果たしてそうなるのかどうか、これからの政治・経済の動きに注目したい。

唐澤豊@唐澤塾
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唐澤 豊
  • Author:唐澤 豊
  • 還暦を期に長髪から一気に坊主頭にしました。これから20年間、第2の成人を迎えるまではこれでいこうと思います。でもやっぱり冬は寒いし、夏は暑いので、帽子を愛用しています。
    ●情報通信業界の米国系企業を中心に40年間、営業以外の仕事はほとんど経験。技術以外には、マーケティング・ブランディング、組織論、人事評価制度、企業文化なども経験。今まで3つ会社を始めましたが、被買収・売却などの後、4つ目の会社を後任に任せたところで、一昨年、仲間2人ともうひとつ会社を設立し、非言語コミュニケーションのサービスを開発中です。
    ●経営労働管理士。日本躾の会理事。
    ●音楽(ビートルズ、S&G、フォーク、ニューミュージック等)、グラフィックデザイン、水彩画を趣味とするので、マルチメディア技術の活用に大いに期待しています。読書、宇宙の真理探求が最近の趣味。ストレッチ、真向法、西勝造先生の西式健康法を実践中。
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    ●詳しいプロフィールは「自己紹介」のカテゴリーにあります。
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